茶柱横町 茶柱横町入口へ
 
 
プロフィールを見る
前を見る 次を見る

あきら「茶柱句会 第三部 第37回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句なう─
「第37回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」
(着信順 投句のまま)
一人六句まで(1ツイ−ト3句以内 2ツイ−トまで)
10月8日〜10月22日締切り
兼題は良夜 夜長 あるいは当季(秋 晩秋)




天平の琵琶の音聴こゆ良夜かな

彫琢の一句寝かさん夜長こそ

蟲のこゑ唱歌のやうに聴けぬ耳

後の月大拙坐せる水鏡

摩天楼のさらに尖搭身に入むる

栴檀を薙ぎし台風許すまじ
(以上六句  大阪市 あきら)


寝るべく良夜の雨戸閉めにけり

名月や明石大門を来る漁船

名月を仰ぐ七十路辱多し

貝割菜なにげにならぶ良夜かな

長き夜や分厚い町史播けり
(以上五句  加古郡 はつを)(代ツ)


体内に宿すは僅か秋の雨
(以上一句  鈴鹿市 天白)


蓑虫の仕事比べや枝の先

こぬか雨のせて重たき紅葉かな

霜置きし洋野菜なり名を尋ね

神無月朔月詣りのぞろかな

紅葉散る一期一会の肩の上

金木犀子供は列を乱しけり
(以上六句  横浜市 兎巣)


字句補足説明
順番に
良夜 夜長 蟲(むし)のこゑ 後の月 身に入む(しむ) 台風と秋の季語
天平の琵琶は正倉院宝物の螺鈿紫檀五弦琵琶(らでんしたんごげんびわ)
聖武天皇の愛用品とされる
彫琢(ちょうたく) 何度も手を入れ 文章などを満足するまで直すこと
(元来は彫金などの細工由来の言葉)推敲も含まれようがもっと執拗
僕はその上で一晩寝かせる 秋の夜長にはもってこい
「蟲のこゑ」1910年(明治43年)「尋常小学校読本唱歌」の題名
作詞・作曲は文部省唱歌とのみある
大拙館 禅を英訳して世界的に普及した禅の泰斗鈴木大拙(1870〜1966)
の歩みと思想を顕彰した記念館 金沢出身の大拙の生家の近くに建つ
水鏡の庭と呼ぶ水の上に浮かんだデザイン 設計は建築家 谷口吉生さん
僕は先日 NHK Eテレ「心の時代」で名誉館長 
岡村美穂子さん(アメリカ時代からの秘書)のお話を聞いて感銘を受けた 
現地は未だ踏んでいない
いろんな含蓄のある話のなかで 一つだけご紹介したい 大拙の話のまとめ方
相手の話をひとしきり聞いた後<それはそれとして>と言い 
違う次元に話題を転換されていた その言葉を書にした軸も拝見
イザコザの現実はさて置いて ヒョイと次元を変えるのは禅の得意とするところ 思いがけない解決の糸口が見つかるものだ
<大拙ぞ>の<ぞ>は強調の助詞
それにしても金沢はがんばっている 金沢21世紀美術館 西田幾太郎館
など目白押し
過日 台風17号で中之島の栴檀の木橋の名の由来ともなった
栴檀の大木が薙ぎ倒された それはそれで大変残念なことだが 
ただ倒された大木を報じるのみの大阪メディアの無知さ加減が許せない 
江戸時代 西山宗因による俳諧の流派談林派の由来ともなる
栴檀の木の大阪における文化史的説明は皆無
談林派には浮世絵草子作家伊原西鶴の名もみえる 
<栴檀は双葉より芳しい>というのは 以下のような謂れに因む
栴檀林を略して檀林→談林
栴檀は樹木の名称ではあるが 仏教では仏や仏弟子を指す
学問や修行をする学寮のことでもあった
僕は翌日現地に赴き弔ってきた
江戸の松永貞徳の貞門派に対して大坂の談林派が興った
そしてまだ新鋭だった
松尾芭蕉の蕉門へと俳諧の主流は遷ってゆく

はつをさんの句
良夜 名月 長き夜が秋の季語
明石大門(あかしおほと)明石の門(あかしのと)明石海峡のこと
柿本人麻呂<天離(あまざか)る鄙(ひな)の長道(ながら)ゆ恋ひ来れば
明石の門より大和島見ゆ>
明石海峡にかかる名月を朗々と詠まれた

天白さんの句
秋の雨が秋の季語
出産間近 この長き慈しみの期間があって母となられる

兎巣さんの句
順番に
蓑虫 紅葉(もみじ)霜 神無月 金木犀が秋の季語


<同人欄>

「高きに登る」あきら(代表同人)vol.25

親鸞の鸞の戯れ無月かな

願はくば葡萄の新酒瑠璃杯

登高やカレ−ライスへケ−ブルカ−

大紅葉二本三本彩づきぬ

魚ちりにいそいそと入る寒鰆

字句補足説明
順番に
無月 新酒 登高(高きに登るの傍題)紅葉 寒鰆が秋の季語
無月 名月が出ているのだけれど 雲などに隠れて見えない月
そこはかとなく月の気配が空に満ちてはいる
この句 雲ではなく親鸞の鸞という鳳凰が戯れて月を隠している
という想像の句 (角川の新字源によると)
鸞は五色の羽毛の尾長鳥のような姿で空中を大きく飛翔しないが
神輿の屋根の上の金色の飾りにみられる
親鸞(1173〜1262)鎌倉新仏教 浄土真宗の開祖
歎異抄第三章
<善人なほもて往生す いわんや悪人をや>
(善人ですら極楽へ行けるのだから 悪人は言うまでもなく)
いわゆる悪人正機説
これを<悪人でも往生できるのだから 善人なら当然>と自惚れて読んでは
ならないと戒められる 親鸞聖人によれば 善人はいない皆大悪人という前提
親鸞の鸞は神鳥 鳳凰の一種の意味 
鸞和(らんくわ)は天子の車につける黄金製の鈴
難しい漢字だがさすがに天子の血脈を示すいい漢字
瑠璃杯(るりのつき)第64回正倉院展(奈良国立博物館 11月12日まで)
葡萄の新酒はボジョレ−ヌ−ボ−と呼ばれるが そのバカ騒ぎとは無縁
夜光るガラス器という意味の夜光杯(やかうはい)
ガラスの起源は紀元前4.000年頃のメソポヤミア
古代ロ−マ ペルシャでいろいろ工夫され
シルクロ−ドを百済経由で渡来
ササン朝ペルシャ(3〜7世紀)の文様
コバルトブル−のカラス器に百済の銀製の脚
登高 中国の風習 陰暦9月9日重陽の日に酒肴をもって高い所へ登って
厄を払った
僕はケーブルカ−に乗って六甲山の登六庵のライスカレ−を食べに行く
茶亭 登六庵(とうろくあん)昭和の初め頃からあるらしく 奇怪なインテリア
昭和の初めのモダニズムのライスカレ−(1,000円)の趣
もちろん六甲山ホテルのレストランもいいけれど 気楽なのがいい
<二本三本>は(にほんさんぼん)と読まず<ふたもとみもと>と読めば詩的
寒鰆(かんさはら)十月から瀬戸内の播磨灘などで秋漁が始まる
冬場に脂がのって美味
「鰆」そのものはサバ科の中型魚 春から初夏が旬春の季語


「柿」はつを(同人)vol.23

日本一美味ひ我が家の庭の柿

柿不作なれど一つは木守柿

孫子等と植えて五年目柿七顆

甘柿の木にも中には渋も居て

渋抜けぬまま七十路吊し柿

字句補足説明
柿が秋の季語


「秋の雲」兎巣(同人)vol.7

鰯雲赤子の指がつかみおり

青魚の名前次々秋の雲

冠雪は薄き袷や秋半ば

字句補足説明
順番に鰯雲 秋の雲 秋半ばが秋の季語
<青魚の名前次々秋の雲>は鰯雲 鯖雲の名が多いこと
秋の雲は上空の風によって次々変わる様子
<女心と秋の空>の兎巣版
冠雪は それだけだと冬の季語だが ここでは<秋半ば>が主たる季語

<講評>
茶柱句会主宰あきら(茶柱ツイッタ−句会代表同人)
参加者は4名(260名)参加句数18句(560句)( )内は累計
同人4名の句会になった
最近の稲穂さんの消息がわかりません ご一報下さい
<名月や/明石大門を来る漁船>はつをさんの句境の冴え
<体内に宿すは僅か/秋の雨>天白さんの今の心境
もう一息 俳句も途切れずよく継続されました
<紅葉散る/一期一会の肩の上>兎巣さん やっと兎巣さん調全開

─俳句なう─
<第38回茶柱ツイッタ−句会のお知らせ>
11月8日〜11月22日締切り 12月8日掲載予定
一人六句以内(1ツイ−ト3句以内×2ツイ−ツまで)とします
兼題は 七歩三 時雨
あるいは自由題(当季 初冬)でご参加下さい
11月7日に立冬を迎え これより当来は初冬


<お知らせ>
茶柱ツイッタ−句会も3年目に入りました
すべてゼロから始まって
一般投句数は累計で560句(第37回現在)
同人欄を併せると約1,000句近く
そこで当初の予定通り
茶柱ツイッタ−句会奮闘記 vol.1
のような(仮称)タイトルで活動の軌跡と作品を
毎号の掲載分をベースに 若干の編集を加えた冊子にしたいと思います
まだ全くの白紙状態
4年目に突入するまでを目途として
現在の同人5名の編集委員会に
茶柱横町世話役で図書設計家の谷口純平さんを迎え
企画を練っていきたいと考えています
そこで 制作に先立つ資金を得るため
ざっと1000句から選んでいただけるよう
本欄に掲載された作品を希望者にレンタルしたいと思います
写真の「貸しポジ(ネガ)」のように
俳句の「貸し俳句」
制作物の制作に必要なコピ−の一部として提供するサ−ビスです
これに関するマネジメントは「主宰あきら」が一切担当します
毎回末尾にPRを以下のような要領で掲載したいと思います
PR
貸し俳句(RENTAL俳句)(RENTA句)(レンタック)
茶柱句会に掲載中の俳句をレンタルします
ご要望に応じて特別制作も承ります
具体的なご相談は下記のEメ−ルで「主宰あきら」が承ります
kiralax@nifty.com



Let's Tweet
haijin575をフォローしましょう
井上 明関連サイトリンク
暮らし方研究会
http://www.kurashikata.gr.jp

第60回
茶柱ツイッタ−句会

第59回
茶柱ツイッタ−句会

第58回
茶柱ツイッタ−句会

バックナンバーINDEX
前を見る 次を見る
| 著作権について | このページのトップへ | 茶柱横町入口へ |