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あきら「茶柱句会 第三部 第35回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句なう─
「第35回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」
(着信順 投句のまま)
8月8日〜8月22日締切り
一人六句まで(1ツイ−ト3句以内×2ツイ−トまで)
兼題  なし 自由題(当季 晩夏 初秋)




ポンツ−ンに島弧の愉悦晩夏光

遠花火いつこく堂の腹話術

天高しあべのハルカス工事中

露草を踏みしスパイク敗戦日

今朝の秋引越車去りまた来る

園丁の手塩の蕾秋の薔薇
(以上六句  大阪市 あきら)


初秋や糺の森を抜ける風

初秋や糺の森の古着祭

方丈の庵の琵琶や秋初め

咲き初めて風立ちやすき萩の花

初秋や良寛愛でし五合庵

勝ち上がる球児の背の晩夏光
(以上六句  加古郡 はつを)(代ツ)


切りがなき逆子体操残暑

大地蹴る足となるらん天高し
(以上二句  鈴鹿市 天白)


ふりむけば紅き芙蓉の花盛り

新涼の水の色した和菓子かな

白き道午睡の夢の残暑かな

勝ち虫と雖も淋し赤蜻蛉

天気図のかなたに置ける秋の雲

洗濯の増えれば嬉し秋の雲
(以上六句  横浜市 兎巣)


字句補足説明
順番に 晩夏光 遠花火と夏の季語 天高し 露草 敗戦日(8月15日)
今朝の秋 秋の薔薇と秋の季語 
ポンツ−ン 潮の干満で上下する浮き桟橋のこと
いつこく堂はご存知 腹話術の名手 
海外中継の音声のタイムラグの表現などに独自性がある 
遠花火も光と音の速度の差が顕著
「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区阿部野橋駅に工事中の複合超高層ビル)
完成時(2014年春)には高さ300mとなり
「横浜ランドマ−クタワ−」(296m)を抜いて日本一の高さになる
今朝の秋 <秋の朝>とは異なる 
夏が去って初めて「秋らしさ」を感じる朝のこと 歳時記では立秋の傍題
秋の薔薇(二番薔薇) 薔薇は歳時記では夏の季語
中之島の薔薇園では五月に咲く夏の薔薇は 月末頃には惜しげもなく撤花
 六月七月と花のない時期になる その間 園丁の丁寧な剪定と水鑓が続く
八月の中頃から蕾をつける それを彼らは<二番薔薇>と呼ぶ
歳時記では夏以外の薔薇は秋の薔薇とか冬の薔薇と断る約束
はつをさんの句
順番に 初秋 秋初め 萩の花と秋の季語
晩夏光は夏の季語だが 字の通り夏の終わりの光のこと
糺の森(ただすのもり)下鴨神社の森の称
方丈は丈四方(約3m四方)の小さな空間 この句 下鴨神社の河合社に
置かれた鴨長明(1155〜1216)の方丈の模型の琵琶を詠む
下鴨神社に所縁ある長明だが 訳あってこの河合社(糺の社)の禰宜になれず
後に出家 晩年に京都 日野山に方丈の庵を作って「方丈記」を書き上げる
<行く川の流れは絶へずして>の書き出しはつとに有名
良寛(1758〜1831)は江戸時代の禅僧 
故郷の越後に五合庵を結んで20年ほど過ごす
天白さんの句
残暑 天高しが秋の季語
お腹の中の子が逆子(さかご)と判明 お母さんになる天白さんは大奮闘
俳句どころではない まして投句など至難
天白さんのツイッタ−によるとお腹の中の子の愛称が<たいちゃん>とか
その<たいちゃん>生まれる前からツイッタ−上で有名
逆子体操もその一環 一句目 下五が字足らず 
二句目天高しの季語がとってつけたようだが 
俳句としての完成度よりも 猛暑を乗り越えて 
母子ともに元気で出産されることを祈念して 原句のまま掲載
一句目は句として整えるなら<秋暑し>と残暑と同義の五音にしたり
「かな」をつけて<残暑かな>という手もあるにはあるが
「かな」の気分にはとてもなれない そこで破綻 
撃沈覚悟で異例中の異例だが 原句のままとした
(しかし 才能ある同人の天白さん故苦言を呈す)
俳句は作者がいかなる状況にあろうとも 
冷静に俳句の型に即して詠んでこその値打(子規の言う平気)
<切りがなき逆子体操/秋暑し>ならどうだろう


<同人欄>

「晩夏光」あきら(代表同人)vol.23

朝刊の涼しき五輪結果待ち

かつ長く重き八月十五日

八月尽原爆ド−ム抜ける風

わが影はジャコメッティの作晩夏光

地下鉄はいつしか高架晩夏光

絵手紙や朝顔の顔はみ出して

字句補足説明
順番に
涼しき 晩夏光 と夏の季語 八月 八月尽は秋の季語になる
朝顔は夏に咲く印象だが歳時記では秋の季語 
この八月はロンドン五輪の熱戦と時差で調子を崩した方もいたようだ
僕は端(はな)から深夜のライブは諦め 結果は朝刊で知ることにした
ジャコメッティは Alberto Giacometti(1901〜1966)スイス生まれ
パリで活動した20世紀を代表する彫刻家
細長く引き伸ばされた針のような独自の造型が特徴


「オリンピック」はつを(同人)vol.21

なでしこの五輪に咲きし笑顔かな

顔覆ふ指に涙や山葡萄

日の本の沸きし五輪や蝉しぐれ

日の丸を纏ひて涙酔芙

字句補足説明
順番に なでしこ(撫子) 山葡萄 酔芙蓉が秋の季語
蝉しぐれは夏の季語


「陸奥紀行」兎巣(同人)vol.5

バイパスに姿涼しき南部富士

みちのくを回り返れば夏去りぬ

鳥渡る彼方に伏せし姫神山

不来方の秋草の上人清か

安達太良の本当の空天高し

字句補足説明
順番に 涼しは夏の季語 夏去りぬは 去るに重心をおけば秋 
夏に重きを置けば まだ夏の季語
鳥渡る 秋草は秋の季語
不来方(こずかた)は岩手県盛岡市の雅称 盛岡になるまでの古い地名
清か(さやか)秋草も人も清かである
安達太良(あだたら)は智恵子の故郷 福島県二本松の安達太良山
この句 彫刻家にして詩人の夫 高村光太郎著「智恵子抄」を踏まえている


<講評>
茶柱句会主宰 あきら(茶柱ツイッタ−句会代表同人)
今回の参加は4名(252名)参加句数20句(523句)( )内の数字は累計
同人の はつをさん兎巣さんは堅調 殊に兎巣さんの復調が喜ばしい
<勝ち虫と雖も淋し赤蜻蛉>は兎巣さんの今期ベストワン
はつをさんはますます好調<方丈の庵の琵琶や秋初め>今期の代表作の予感
置かれた琵琶は長明を暗示 下五の<秋初め>ストンと腑に落ちる
稲穂さんは参加が途切れやゝ心配 お見舞い申し上げます
一句でも二句でも 気晴らしにご負担のない範囲でご参加下さい
今回の快挙は天白さん 2句だけながらよくぞ参加されました
こんな俳句は現在の天白さんにしか詠めない
いろいろ注文を付けているが 天白さんへの期待の現われと思って下さい
「茶柱の蛙」から大海の天白を目指してご精進を

来る9月22日は「茶柱ツイッタ−句会」が2年前にスタ−トした記念すべき日
投句総数はお蔭様で今回で523句(同人欄は除く)を数えました
1年前 2011年度優秀作品賞(第1回〜第26回掲載分)を制定
最優秀賞の立柱賞にはつをさん
優秀賞の奨励賞に兎巣さんと天白さん
同人賞にはつをさんが選ばれました
受賞記念の作品発表の参加作をお待ちしています
はつをさんは50句を年末か年始には発表予定
兎巣さん 天白さんもご準備あれ

昨日(9月7日)は二十四節季の白露
明日(9月9日)は五節句の重陽
秋たけなわ


─俳句なう─
第36回茶柱ツイッタ−句会(一周年記念句会)のご案内
9月8日〜9月22日締切 10月8日掲載予定
一人六句まで(1ツイ−ト3句以内×2ツイ−トまで)
兼題は特にありません 自由題(当季 初秋 仲秋)
句材の多い季節 俳人として秋を表現して下さい 

【お知らせ】
2012年度立柱賞(第27回〜第36回掲載分)は次回発表予定




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