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あきら「茶柱句会 第三部 第28回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句なう─
「第28回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」

(着信順 投句のまま)
一人三句まで(1ツイ−ト3句以内)
1月1日〜1月22日締切り分
兼題なし自由題(当季 新年 冬)


初詣去年の今朝にはなき予兆

新玉の和妻の技や紙吹雪

列島の温度差二十雪中花
(以上三句  大阪市 あきら)

去年今年真つ暗闇に妻の背

去年今年獣が山へ退散す

去年今年灼熱の生跨ぎをり
(以上三句  西条市 真鍋稲穂)

幾重にも日差しため込む干白菜

大根の太さめでたき寒の入

冬日向の猫や乾燥注意報
(以上三句  横浜市 兎巣)

出航の焚火をくべし夜明け前

屋根裏の小さき孔の星冴る

高峰や姿勢を正す受験生
(以上三句  鈴鹿市 天白)

万物の命始まる初日かな

みちのくに繋がっている初御空

大漁旗揚げよ伊根浦跳ねる鰤
(以上三句  加古郡 はつを)

字句補足説明
順番に
初詣 新玉が新年の季語 雪中花(せつちゅうか)は水仙のことで冬の季語
和妻(わづま)は日本の手品のこと 他に水芸などもある
去年今年(こぞことし)が新年の季語
妻の背は(つまのせな)と読む
白菜 大根 冬日向(ふゆひなた)が冬の季語
焚火 冴る 受験生が冬の季語
受験生は入学試験の傍題の季語
初日 初御空(はつみそら)が初空の傍題で新年の季語
鰤は冬の季語


<同人欄>

「餅花」あきら(代表同人)vol.16


書初に認む一句木炭紙

三が日海の細道観て速し

餅花や人は陽気な繁昌亭

初詣去年の今日はいかばかり

新春対局銀行員の貌の棋士

龍のみが実在せぬと初暦

1.17忌玉葱刻む人数多

悼 森日出男(アルチザンLLP代表)さん
逝きし漢白に包まる龍の玉

字句補足説明
順番に
書初 三が日 餅花 初詣 新春 初暦が新年の季語
1.17忌は阪神大震災のことで冬の季語だが まだ正式ではない
龍の玉が冬の季語
<海の細道>俳人の長谷川櫂さんが 
芭蕉が望んだが実現できなかった「奥の細道」の次の構想を忖度して 
読売新聞で連載中だったもののNHK映像版(正月三が日に放映された)
近々中央公論新社から単行本で出版予定
森日出男さんは 横町の谷口純平さんと僕を結びつけて下さった恩人
追悼句を詠むのは初めて
その人柄や印象を漢(をとこ かん)と龍の玉にこと寄せた
龍の玉は庭の下草に植えられる龍(蛇)の髭の実 7ミリくらいの濃く青い実
よく弾むので弾み玉とも呼ばれる


「正月」真鍋稲穂(同人)vol.12

元旦の民家ひとつに国旗見ゆ

初雀心臓の肉はまた厚く

松の内入選せずも魂ある句

正月の早朝を掃く管理人

若水や白湯の甘さよ仄かさよ

字句補足説明
順番に
元旦 初雀 松の内 正月 若水が新年の季語


「冬の蝿」天白(同人)vol.2

日に日にと痩せてゆきにし冬の蝿

冬日陰僅かに動く喉仏

冬帽子花花花の下にあり

懐かしき広島弁や餅焦げる

猫の毛も顔も緩みし日脚伸ぶ

日脚伸ぶ主の席に猫座る

したり顔のコメンテ−タ−女正月

踊り止まぬドガのプリマよ冬ざるる

潮風や体を充たす日脚伸ぶ

我が国を睨みつけたる武者絵凧

字句補足説明
冬の蝿 冬日陰 冬帽子 日脚伸ぶ 冬ざるるが冬の季語
蝿だけだと夏の季語
<日脚伸ぶ(ひあしのぶ)>は
冬至を過ぎて日照時間が長く感じられるころの情景
餅 女正月(めしやうぐわつ)凧は新年の季語
<女正月>は元旦を男正月(大正月)というのに対して 
1月15日の小正月(女正月)のことをいう 
年末 年始と忙しかった女たちがこの日ようやく正月気分になれる


「新海苔」はつを(同人)vol.14

黒光したる新海苔届きけり

津波跡の奥松島の新海苔ぞ

新海苔に命かけたる漁師かな

かぐわしきこの新海苔で巻き鮨を

新海苔に沸く松島や津波跡

字句補足説明
新海苔が冬の季語
海苔は冬から春にかけて採れるが そのうち出始めのころのものをいう
海苔だけだと春の季語
この句について 作者のはつをさんの前書きがあったので紹介します
<奥の細道の旅で月山八合目で嵐に遭い 緊急に山小屋に宿泊した時に知り合った人が、奥松島で漁師民宿「桜荘」を営む人だった。その方は家が高台にあって津波被害を免れたが、知り合いや同業者に犠牲者がたくさん出た。
新玉葱や新じゃが等をお送りしていたところ、秋口に孕み鮭また年末に奥松島で復興の証としての新海苔の生産を始めたので、見てほしいと送られてきた>


<講評>
茶柱句会主宰あきら(茶柱ツイッタ−句会代表同人)
同人の稲穂さんは病床からの参加
同人の天白さんは傷心からの復帰
参加者は5名(221名)参加句数15句(368句)( )内は累計
俳句のいいところは いついかなるときでも元気になれるところ
それを享受するためには基礎をしっかり身につけることが大事
同人の稲穂さんの闘病記<去年今年真つ暗闇に妻の背>には妻への感謝の気持
<去年今年灼熱の生跨ぎをり>には鬼気迫るものがある
今年の稲穂さんの句から目が離せない
同人の兎巣さん<冬日向の猫や乾燥注意報>は
冬の日向の日向ぼこのマンネリから脱却 
切れ字を効かし乾燥注意報と取り合わせたところがとてもよい
同人欄への投稿もあったがまとまりきらなかった
天白さん<出航の焚火をくべる夜明け前>は
作者の個性と今年にかける意欲がよく表現された 
また同人欄「冬の蝿」にも力作が並ぶ
今年も大いに学んで下さい 秀作を期待しています
奨励賞受賞者お二人の三十句競詠が楽しみだ
第一回茶柱大賞(立柱賞)受賞者で
古希を越されたはつをさん<みちのくに繋がっている初御空>
新年の季語 初御空はもちろん はつをさんの心がいつも陸奥に繋がっている
同人欄「新海苔」月山で知り合われた奥松島の方との交流から生まれた 
俳句はいつもスタンバイして出番を待っている 俳人はそっと心を寄せるだけ
そんなことを教えられた気がする
今年もお元気でご参加下さい


─俳句なう─
「第29回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
2月8日〜2月22日締切り 3月8日掲載予定
当面 横町の都合で 月に一回の更新となりますので
一人六句以内(1ツイ−ト3句×2ツイ−トまで)とします
兼題は節分 立春 余寒 冴返る 海苔 梅
あるいは自由題(当季 冬 早春)でお願いします



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