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あきら「茶柱句会 第三部 第24回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句なう─
「第24回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」

(着信順 投句のまま)
一人三句まで(1ツイ−ト3句以内)
9月22日〜9月30日締切り
兼題 霧 栗 柿
あるいは自由題(当季 秋)


消し残し暈しの技法霧の絵師

手にとりて漲る栗の艶を愛づ

一村を見渡す棚田木守柿
(以上三句  大阪市 あきら)


蟹騒ぐ暗渠あるらし朝の霧

長靴を探す父子の栗拾い

どの鳥に約束したか残り柿
(以上三句  横浜市 十巣)


夕霧や待ち伏せてゐる君の純

毬栗や転げて待ちぬ訪ね人

やや固くほんのちょつぴり甘き柿
(以上三句  西条市 真鍋稲穂)


老犬は目を伏せたまま寒露かな

せんせいと叫ぶ声がする栗拾い

深海に僅かな光夜這星
(以上三句  鈴鹿市 天白)


お土産に芭蕉生家の庭の栗

山霧や法然得度のご霊場

満月を背に耕すこの大地
(以上三句  加古郡 はつを)

字句補足説明
順番に
霧 栗 木守柿(きもりがき)栗拾い 夕霧 毬栗(いがぐり)
寒露(かんろ) 夜這星(よばひぼし 流星の傍題)
山霧 満月(名月の傍題)が秋の季語
寒露は二十四節季のひとつ 今日10月8日
すっかり夏の季語は影を潜めました
暈し(ぼかし)曚朧とした水墨画の濃淡はきっと霧を写したのだろう
この霧 山の上から眺めると雲海 春には霞と呼ばれる
<法然得度のご霊場>は比叡山のこと 
浄土宗の開祖法然は1147年(久安3年)
比叡山延暦寺で得度された この時期 山霧が深い


<同人欄>

「夜霧」 あきら(代表同人)vol.12


ジグザグと秋に分け入る山路なう

ド−ナツの穴齧つてゆきし秋の風

北浜の相場師岩本栄之助翁ピストル自殺(1917.10.27)
一発の銃声聞こゆ霧の夜

秋暁や影絵のビルの濁りなき

おそらくは宇宙にひとつ露の惑星(ほし)

字句補足説明
順番に
秋 秋の風 霧 秋暁(しうげう)露が秋の季語
北浜の相場師岩本栄之助(1877〜1917)は大阪市に100万円を寄付 
それをもとに大阪中央公会堂(1918年(大正7年))が建設された
相場が崩れ 1917年<その秋をまたで散りゆく紅葉かな>という
辞世の句を残して完成を見ずにピストル自殺
秋暁は秋の早朝のこと
露の惑星は水の惑星(地球)のこと


「平凡」 真鍋稲穂(同人)vol.11

衣被娘の中に母の艶

仕事とは忙しきもの唐辛子

曼珠沙華白も目を閉ぢ赤となり

虫たちの母のためのみ鳴きにけり

月光と帰るは我が家しかあらず

新蕎麦や待つ幸ありて喰ぶ幸に

老いといふ立待月の早さかな

萩摘んで贈りたき人をりにけり

字句補足説明
順番に
衣被(きぬかつぎ)唐辛子 曼珠沙華 虫 月光
新蕎麦 立待月(たちまちづき)萩が秋の季語
衣被は小ぶりの里芋を皮つきのまま 塩味で茹でたもの
中秋の月見のお供えにかかせない
立待月 十七夜の月 陰暦8月17日の夜の月
立って月の出待つところから立待月
満月(十五夜)を過ぎると一日づつ月の出が遅くなる
それにつれて名称も変わる
十八夜になると座して待つところから居待月(ゐまちづき)
十九夜では臥して待つところから臥待月(ふしまちづき)
二十夜では更待月(ふけまちづき)
月にこれだけ名を付すのは日本独自の文化


「柿」 はつを(同人)vol.9

柿とれば磨いて詰める玉の孫

柿三顆生りたる枝の重さかな

窓に生る柿を巧みに高鋏

柿の木の網に苛立つ野鳥ども

色褪せぬこの甘柿と七十路に

字句補足説明
秋の季語柿の連作 
生り 生るはそれぞれ「なり」「なる」と読む
玉の孫という表現には 
玉のように可愛いお孫さんへの愛情がこめられている
三顆(さんくわ)は三個ということ


<講評>
茶柱句会主宰 あきら(茶柱ツイッタ−句会代表同人)
今回の参河は5名(209名)参河句数は15句(310句)( )内の数字は累計
三同人と横浜市の十巣さん 鈴鹿市の天白さんとの句会となった
十巣さんと天白さんは今回で29句の掲載
次回1句以上の参加で 30句超掲載で同人推挙となられる
天白さん<深海に僅かな光夜這星>が異彩を放っている
夜這星とは秋の季語 流星の傍題だが 夜這い婚の古い風習を想起させる
はつをさん<山霧や法然得度のご霊場>の句格が高い
稲穂さんの三句 いづれも色香あり意味深 秋の季題でこんな詠み方もできる
作者の懐の深さがうかがえる 同人欄にもそれが滲んでいる
十巣さん<どの鳥に約束したか残り柿>には独特の味わいがある
「残り柿」という表現は十巣さん独自の言葉 
熟柿(じゅくし)という季語があるがそのような意味かと推測する
<長靴を探す父子の栗拾い>は切れがないため 冗長で意味不明
切れは 俳句の生命線 切れ字を用いれば<長靴を探す父子や/栗拾い>
原句では栗を拾うのか長靴を探すのか曖昧 
切れば 栗拾いに行くために長靴を探している
父子の姿がくっきりと見えてくる 切れ字の効用
切れ字は古くさいという向きもないことはないが 大いに活用すべきだ
<訂正とお詫び>
前回比叡山延暦寺根本中堂のご本尊 
<薬師瑠璃光如来>を阿弥陀如来と誤って記載していました 
謹んで訂正とお詫びを申し上げます


─俳句なう─
茶柱句会第三部「第25回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
10月8日〜10月15日締切り 10月22日掲載予定
一人3句まで(1ツイ−ト3句以内)
兼題は<萩><薄 芒(すすき)><秋の燈(ひ)>
あるいは自由題(当季 秋)でご参加下さい
なお震災復旧等の影響で掲載日程が変わることがあります
ご了承下さいませ



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