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あきら「茶柱句会 第三部 第20回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句を遊ぼ─
「第20回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」

(着信順 投句のまま)
7月18日〜7月31日締切分 8月8日合併掲載
一人三句まで(1ツイ−ト3句以内)
兼題は夕立(白雨も可) 晩夏 残暑
あるいは自由題(当季・晩夏)


マントルの緑の炎夏木立

雲水を追いかけゐたり白雨なう

バックミラ−の尖つた欠片晩夏光
(以上三句  大阪市 あきら)
 

トランペット絞り出す音の大暑かな

一夜明けうなだれ眠る月下美人
(以上二句  神奈川 みゆき)


晩夏光少し狂ひぬ古時計

夕立や痛む膝にて軒下へ

青春を忘れ物した残暑かな
(以上三句  西条市 真鍋稲穂)


夏草や人は一生(ひとよ)ぞ己が道

白南風や透きし前歯で悔いなしと

文旦の一個丸ごとアイスクリン
(以上三句  加古郡 はつを)


夕立にぬれてかわいて湯かたびら
(以上一句  横浜市 十巣)


夏下駄の二人降りゆく貴船駅

ビ−玉を掌に転ばせて夏惜しむ

鳥騒ぎ羽を逆立つ夕立かな
(以上三句  鈴鹿市 天白)


<用いられた季語>
順番に夏木立 白雨(はくう)晩夏光 残暑 
大暑 月下美人 夏草 白南風(しろはえ)
アイスクリン 夕立 夏下駄 夏惜しむ


<同人欄>
「露草」 あきら(代表同人)vol.8
竿灯の先を出たる宙ならん

かなかなとしみゐる虚空迷ひ星

秋暑し値打以上の円相場

不発弾を抱へてゐたり酔芙蓉

露草を踏みて少年甲子園

字句補足説明
順番に
8月7日に立秋を迎え これより暦の上では秋 句は晩夏と初秋の端境期
順番に竿灯かんとう) かなかな 酔芙蓉 露草と秋の季語で詠んでいます
竿灯は8月3日 秋田竿灯祭 「百尺竿灯一歩を出る」という言葉がある 
どんな分野であっても「一歩を出る」心意気が大事 
百尺の竿灯の先までいくだけでも大変な努力がいるが 
さらに一歩出るというのは止揚(アウフヘ−ベン)のようなものだと思っている
迷ひ星は惑星のこと ここでは宵の明星(金星)
秋暑しは残暑の傍題の季語


「一瞬の夏」 稲穂(同人)vol.7
削り止みぱつと広がる蝉時雨

雨跡のひとつひとつや終戦日

礼装に朝日眩しき大暑かな

愛想ない店員がゐて夏祭り

浴衣着て背丈一寸伸びにけり

字句補足説明
順番に
蝉時雨 終戦日 大暑 夏祭り 浴衣が当季(夏)の季語
削り止みは「はつりやみ」と読む
工事現場のけたたましい騒音がピタッと止んで蝉時雨が急に聞こえる瞬間を表現


「祇園会」 はつを(同人)vol.5
大輪の花の如くに鉾のあり

鯉山の鯉は炎の風に跳ね

鉾組むや汗で締めたる縄がらみ

鱧食へば二階囃子の通り過ぎ

三陸の海に船鉾舵をきれ

字句補足説明
順番に
祇園会(ぎおんゑ)という表題そのものが夏の季語
よって順番に鉾(ほこ)鯉山(こいやま)汗 鱧が夏の季語となる

<講評>
茶柱句会主宰 あきら(茶柱ツイッタ−句会代表同人)
今回の参加者は6名(90名)15句(247句)( )内は累計
神奈川のみゆきさん<トランペット絞り出す音の大暑かな>
いいところをとらえられたが<トランペット絞り出す音も大暑かな>と
するほうがより伝わってくる 
<の>と<も>の助詞一文字の吟味 粘り強くつきつめることも俳句の精進 
優しいみゆきさんは俳句ではもう少し冷たくなられたほうがいい
同人の稲穂さん はつをさんは さすがに堅調 それぞれに味わいがある
同人欄の句をじっくりと鑑賞されたい 
はつをさんの<白南風や透きし前歯で悔いなしと>
前書きには「魁皇23年間の相撲人生を経て引退 
引退会見で「最高の人生だった後悔も悔いもない」と語る」とあった 
魁皇ファンのはつをさんならではの一句
(この欄では前書きを禁止しているので ここに記述)
横浜市の十巣さん 久々の参加ながら あいかわらずの手練ぶり
<夕立にぬれてかわいて湯かたびら>湯かたびらは漢字にすると「湯帷子」
昔入浴時に着た
一単の浴衣のようなもの 句としては切れが甘くやや冗長なところが残念
もうすぐ茶柱ツイッタ−句会も一周年 これを機会に再びご参加いただきたい
鈴鹿市の天白さんの作品には目を見張るものがある 
俳句に対して素直に精進されている成果が如実に現れている 
僕も共に勉強させていただいている次第
ますますの精進を期待します
<ビ−玉を掌に転ばせて夏惜しむ>の句 
<夏惜しむ>の下五に情感がにじむ佳句ながら「掌」は
正しくは一字で「てのひら」と読む ここでは「て」と読ませている 
間違いでもないが 
一字一句おろそかにせず正しい国語の表現に勤められることが望まれる
<鳥騒ぎ羽を逆立つ夕立かな>は人間より早く夕立の到来を察知した
鳥の様子を正確に描くドキュメンタリ−タッチがユニ−ク
前回の<息殺す獅子の鬣麦の秋>あたりから天白さんの句境が大きく変化
次はどんな句にお目にかかれるだろうか

<俳句を詠む人へ>
「俳句は説明文ではない」耳にタコができるほど聞かれたことだろう
だが人の良い人ほど「説明文」になる傾向がある
極端に言えば 僕は「樹齢千年以上の縄文杉から
一本の爪楊枝を彫りだすような作業」だと思っている
爪楊枝一本なら間伐材でも枝切れ一本でも十分だろうが
一句となると縄文杉からのほうがよい
ここで縄文杉とは感動の大きさと深さの比喩
爪楊枝とは成果としての一句の比喩
心残りは 捨てた部分に大切な何かがあるのではという未練
成果品であるはずの一句の物足りなさに対する不満
だが「俳句は短い詩だから」と冷徹に割り切る

いよいよ 来る9月22日「第23回」には丸一年を迎えることになります
俳句への門戸を閉ざすことなく継続できたのは 参加者があってのこと

茶柱句会第三部「第21回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
8月8日〜8月15日締切 8月22日掲載(予定)
兼題は立秋(りつしう)枝豆 涼新た
自由題(当季・初秋)でも結構です







あきら「茶柱句会 第三部 第19回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句を遊ぼ─
「第19回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」

(着信順 投句のまま)
7月8日〜7月15日締め切り分
一人三句まで(1ツイ−ト3句以内)
兼題は片蔭 沙羅の花(しゃらのはな)滝
あるいは自由題(当季・夏)


一歩出で腹の底から滝と組む

京の宿片蔭伝ふ片泊まり

沙羅の花堕ちきるといふ一大事
(以上三句  大阪市 あきら)


片蔭に子に手を引かれ手を引きて

たうたうに娘の嫁す日沙羅の花

滝といふ飛沫を浴びてふたりかな
(以上三句  西条市 田所良雄改め真鍋稲穂)


片蔭にすつぽり入る蕎麦屋かな

沙羅の花難波の宮はこの辺り

緋つつじやしばし裏見の滝風に
(以上三句  加古郡 はつを)(代ツ)


今はなき天守を囲む沙羅の花

片蔭に母の両足さすりけり

峰雲の懐深し月中天
(以上三句 鈴鹿市 天白)


<同人欄>
「巴里祭」 あきら(代表同人)vol.7
吊橋の涼しかりけり十五間

暑気離るケーブルカ−の最後尾

中之島の蝉の出勤朝八時

星合や肩触れ合ふて天象儀

夏の月零と無限の間なう

餡パンは銀座の生まれ巴里祭

就中夏の場末のジャズピアノ

泡沫や大坂城の夏の陣

大阪「七月大歌舞伎」開催を触れて周る恒例の「船乗り込み」松島屋は片岡仁左衛門の屋号
「松嶋屋」浴衣の舟にかゝる声

コンテナの錆赫々と西日中

夏便りざらりこぼるゝ星の砂

風鈴の下の一冊堕落論

字句補足説明
順番に
涼し 暑気(しょき)初蝉(はつせみ) 星合(ほしあひ) 夏の月
巴里祭(パリ−さい)夏 夏の陣 浴衣 西日中(にしびなか)夏便り 
風鈴が夏の季語
吊橋(つりばし)も十五間(約27m)くらいだと
蔓などで作られた簡易なものが多い 実際 涼しさを越して恐いくらい
ケ−ブルカ−(鋼索軌道)の最後尾は天井が高くて好きだ 
中之島公園の蝉は午前九時から鳴き始める
天象儀(てんしやうぎ)プラネタリウム(planetarium)のこと
星合 陰暦7月7日の夜 牽牛 織姫の二つの星が会うこと(広辞苑)
零と無限の間(あはひ)つまり虚空(こくう)
巴里祭(パリ−さい)7月14日のフランス革命記念日の日本での呼称
餡パンは銀座の木村屋で発明された 1874年(明治7年)
就中(なかんづく)その中で とりわけて 特にという意味(漢文訓読に由来)
泡沫(うたかた)水の上に浮ぶ泡 はかなく消えやすいことのたとえ
赫々(かつかく)赤くかがやくさま 熱気を発するさま
星の砂は石垣島や西表島の砂浜の星形をした砂 有孔虫の殻が堆積したもので
岩石の風化による砂とは異なる むかし ある人から届いた
「堕落論」(1947年)は
坂口安吾(1906〜1955)の「日本文化私観」(1943年)など
多くの著作のなかの一冊<堕ちる道を堕ちきって自分自身を発見し─>
僕はそこからの再起(再生)の希望の書と見た(国も個人も)


「お日様」 良雄改め稲穂 vol.6
「夏帽を取れば」とをなご句友かな

痛む歯を避けて一口トマトかな

お日様を素跣に感じ背に感じ

尿管を背に通したと汗の玉

字句補足説明
順番に
トマト 素跣(すあし)汗が当季(夏)の季語
素跣は素足と同じ意味 <跣>は一字で<せん・はだし>と読む


「愛染坂」 はつを(同人)vol.4
七十路や七坂楽し夏帽子

凌霄や通天閣の見ゆる坂

愛染祭ならば宝恵かご繰り出さん

愛染坂のふもとに咲けり烏瓜

凌霄花愛染かつらの契りとて

字句補足説明
順番に
夏帽子 凌霄(のうぜん)愛染祭(あいぜんまつり)
凌霄花(のうぜんかづら)烏瓜(の花)が当季(夏)の季語
七十路は(ななそぢ)と読む
七坂(ななさか)は天王寺にある上町台地の坂の数(天王寺七坂の略)
愛染坂は愛染堂の横にある坂の名

<講評>
茶柱句会主宰 あきら(茶柱ツイッタ−句会 代表同人)
今回の参加者は4名(84名)参加句数12句(232句)( )内は累計
鈴鹿市の天白さんが着々と6回連続参加を継続中 
さらに 俳句に打ち込まれる熱意には敬服するばかり 
いまはかつての「天狼」が唱えた「根源俳句」の即物具象の手法を独習中 
意識と意欲さえあれば 
いつでもどこからでも学ぶことができるお手本のような方
(累計18句で次の同人推挙に最も近い)
当句会には俳句を真剣に学ぼうとする方の孵化器のような役割もある 
俳句を継続できない・しない理由はいらない 
こんな俳句を作りたいという意欲を句に込めればいい どうすればいいか?
まずは同人や他の参加者の方々の句の鑑賞から始められたし
<読めれば詠める>目の前にある句を自分が作るとき以上に真剣に読むべし
<我以外皆師>学んで自得する他ないのが俳句
同人の田所良雄さんは真鍋稲穂(いなほ)と号を改名された
稲穂さんは他の大きな結社にも所属して活動されている
<たうたうに娘の嫁す日沙羅の花>僕は去年経験したが 
嫁ぐ娘に対する父親の感慨が 沙羅の花に仮託して絶妙の取り合わせ 
感慨深い句を恬淡と詠まれる 思いの込め方はおおいに学ぶべきところがある
同人のはつをさんは 70歳を越され 
今もなお他の結社の同人として吟行にも参加されている 
今回の同人欄の句はその吟行の賜物とか
愛染祭は大阪で一番早い夏祭り(6月30〜7月2日)よく雨が降る
宝恵かごには今里新地などの芸者衆が黒繻子姿で乗る
四天王寺別院 勝鬘院(しょうまんいん)愛染堂の祭り
愛染堂は愛染明王(障害を取り除き愛を成就させる愛の神)
勝鬘は聖徳太子のご母堂様のこと
また鬘(まん)はカツラを意味し 
1938年(昭和13年)川口松太郎(1899〜1985)の小説
「愛染かつら」にも所縁がある
<凌霄花愛染かつらの契りとて>として詠みこまれた 
味わい深いコクのある一句 心して味読されたし
<片蔭にすつぽり入る蕎麦屋かな>には
<若草山から春日大社にいたる小路に蕎麦屋あり>の前書きがあった 
この小路を行くと志賀直哉旧居に到る
<緋つつじやしばし裏見の滝風に>には
<芭蕉も訪れた日光三大瀑布の裏見の滝に佇めば>と前書きがあった
これも含めて鑑賞が深まる それが前書き 単なる説明ではない
鈴鹿市の天白さん
<峰雲の懐深し月中天>天白の号にふさわしい堂々たる秀句
下五の<月中天>夏の月が天の中心 すなわち中空にあるということだが
峰雲(雲の峰 積乱雲)から切れを利かして月に転じたところが非凡
<峰雲の懐深し>の措辞も的確
<今はなき天守を囲む沙羅の花>沙羅の花を求めて 
大河ドラマ「江」の城跡まで足を運ばれた 
その情熱とリアリティが句に表れている
ますます期待が高まる天白さん 次回が待たれる
<雲の峰余話> インタ−ネット歳時記「季語歳」の雲の峰の解説が楽しい
雲の峰 入道雲 峰雲
盛夏 聳え立つ山並みのようにわきたつ雲 積乱雲
夏といえば入道雲であり 夏の代名詞
夏の日差しを受けて発生する激しい上昇気流により巨大な積乱雲に成長
地方により 坂東太郎 丹波太郎 信濃太郎 石見太郎 安達太郎 比古太郎
などと呼ばれる(土地々々の名称で詠んでも季語の扱いになる)

茶柱句会第三部「第20回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
7月22日〜7月31日締め切り 8月8日掲載(予定)
兼題は夕立(ゆふだち・ゆだち)白雨でも可 晩夏(ばんか)残暑(ざんしょ)
あるいは自由題(当季・夏)でご参加あれ 1人3句以内(1ツイ−ト3句以内)
震災復旧・電力事情等で掲載日程変ることもありますがご了承下さいませ

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