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あきら「茶柱句会 第三部 第17回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句を遊ぼ─
「第17回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」

(着信順 投句のまま)
6月8日〜6月15日締め切り分
一人三句まで(1ツイ−ト3句以内)
兼題なし 自由題(当季 夏)


更衣一日延ばす旅の朝

梅雨晴間レインブ−ツの赤青黄

友に佳きブロック塀の蝸牛
(以上三句 大阪市 あきら)


六月や斎太郎節を唄はんか

津波ごと黄金の波や麦の秋

空に満つ樗の花のこぼれけり
(以上三句 加古郡  はつを)(代ツ)


皿の枇杷瑞々しくも皮と種

見ゆるかもほたるの里をまた訪ぬ

玉葱や無農薬百円を買ふ
(以上三句 西条市 田所良雄)


息殺す獅子の鬣麦の秋

荒れ狂う麦秋の波烏行く

にらめっこ亀沈みけり日の盛り
(以上三句 鈴鹿市 yanbuo改め天白)


用いられた季語
順番に 更衣(ころもがへ) 梅雨晴間 蝸牛(かたつむり)
六月 麦の秋 樗(あふち)の花 枇杷(びは)ほたる 玉葱(たまねぎ)
麦秋(ばくしう)日盛りが夏の季語



<同人欄>
「釣忍」 あきら(代表同人)vol.5
生きてやるてふ面構へ黴のをさ

明易し宇宙ロケット火焔吐く

雨垂の一滴時の記念日かな

水無月や名のある店で奮発す

幾人か夜逃げせし知己釣忍

霍乱や政治の茶番にとる不覚

笹五位の羽繕ひし脚の径

iPhoneや花は密かに小梔子

籐椅子のゆれのこりゐし iPad

字句補足説明
順番に
黴(かび)明易し(あけやすし) 時の記念日 水無月(みなづき)
釣忍(つりしのぶ)霍乱(くわくらん)笹五位(さゝごゐ)
小梔子(こくちなし)籐椅子(たういす)が夏の季語
この宇宙ロケットはロシアの宇宙船ソユ−ズ 6月10日打ち上げに成功
日本人宇宙飛行士古川聡(47)さんが搭乗
「時の記念日」 6月10日 漏刻という水時計の一種が初めて設けられた日
「水無月」旧暦六月の和風名でもあるが 
ここでは六月末の「夏越しの祓」に供される京菓子 
白いウイロウの上に小豆を散らして三角形に切ったもの
白い三角形は原形の氷に因む 夏を元気に過ごす思いをこめた佳き慣習
京都の老舗の和菓子舗で奮発した
「釣忍」は軒端に吊るして緑の涼しさを愛でる夏の風物詩
「忍」はウラギボウシ科の
羊歯(シダ)植物(シノブグサの根茎を丸くたばねて水苔で覆うとシノブ玉)
知己は昔からよく知っている友人 
幾人(いくたり)か立て続けに所在不明になった 聞けば「夜逃げ」という
「霍乱」暑気あたりのこと むかしの日射病 食当りなどの総称
菅政権の体たらくによる民主党の茶番劇 不覚にも体調を崩してしまった
「籐椅子」がみな揺れるわけではない 僕の愛用の籐のロッキングチェア
「iPhone」はいわゆるの「iPhone」のこと
「iPad」は電子書籍を閲覧できる端末機の「iPad」


「落し文」 はつを(同人)vol.2
句会後のまだまだ見入る花菖蒲

みのむしの鳴きしいほりの落し文

播磨国一の惣社の落し文

安産の社にひろふ落し文

地震のない国に届けよ落し文

字句補足説明
順番に
「落し文」そのものの意味は 公然と言えないことを記して 
わざと道路などに落しおく文書 落書(らくしよ)(広辞苑)
俳句では (季語歳によると)オトシブミ科の昆虫の総称 
初夏 櫟 楢 楡などの広葉樹の葉を筒状に巻いて 
中に産卵し地上にを落したもの
なかなか味わい深い夏の季語のひとつ
一句目<みのむしの>句には伊賀の箕虫庵という前書あり
<播磨国一の惣社>とは播磨国総社 射盾兵主(いたてひょうす)神社
すなはち姫路神社 姫路城内に鎮座


「粋と道楽」 良雄(同人)vol.4
あぢさゐや純な子ばかりゐる列車

さみだるゝ歯医者の庭に句碑ひとつ

入梅や貨物に粋を見つけ撮る

悪口は出て仕舞ふもの紅の花

青鷺の闇に溶け入る恐さかな

落とされし子燕の世話甲斐もなし

鮎釣りは道楽といふ不敵かな

字句補足説明
順番に
あぢさゐ さみだるゝ 入梅 紅の花 青鷺(あをさぎ)が夏の季語

<講評>
今回の参加者は4名(80名)参加句数12句(220句)( )内は累計
今回も同人三名と新人一名の参加ながら力作揃い
同人のはつをさん 冒頭のメッセ−ジ「東日本大震災から3カ月が経ちました 
被害に遭われた人達の難儀を思えば 毎日の恙無い暮しの有難さが身にしみます」このような思いが句の随所に込められている
<六月や>の句 「斎太郎節」(さいたらぶし)は宮城県の民謡 
「大漁歌いこみ」ともいわれる勇壮な太鼓のリズムが魅力
お得意のカラオケで唄われたのだろうか 俳句の枠を超えて聞こえてくる 
民謡大会では定番中の定番
このように歌枕となる地名 
あるいは季語に勝るとも劣らない強烈なインパクトを持つ歌の題名がある 
いまこの歌の題名だけで鎮魂歌となりうる
二句目<麦の秋>というのは俳句的な表現 麦の収穫時期はちょうど今ごろ
<津波ごと黄金の波や>というのは痛ましいが<麦の秋>に救われる思い
栴檀の異称 樗の花は夏の季語 樗の実になると秋の季語になる
同人の田所良雄さん 安定した句境がいつも楽しみ
枇杷は今が収穫のピ−ク まさに旬の題材・・・
瑞々しい枇杷がたちまちに皮と種だけになった一瞬の時間経過 
イマコノ一瞬を切り取ることを信条にする俳句のお手本のような佳句
<見ゆるかも>の蛍の句 絶滅寸前の蛍の儚さ それを慈しむ 傲慢でない
人間の部類の作者の心情が伝わってくる
俳句は<イマ ココ コノヨ コノ一瞬>を表現した時に最も輝く
新人の鈴鹿市のyanbuoさんが俳号を天白(てんぱく)と改められた
そして堂々たる三句
ことに<息殺す獅子の鬣(たてがみ)麦の秋>の完成度が高い
当句会累計句数200句の中でも十指の上位に入るだろう
大袈裟ではなく 今年度全国で詠まれた全ての句の中でも
恐らく上位にランクされるのではなかろうか
(そもそも俳句は順位を競うものではないが)

「俳号もまた作品」
芭蕉 蕪村 子規 虚子 蛇笏 誓子しかり
このような秀句を詠む方の俳号がyanbuoではいかにも勿体ないと伝えたら
早速<天白>と改められた このスピ−ド感がじつに素晴らしい
この勢いに乗って 俳句界に新風を吹き込んでいただきたい

「教養なき日本の首相」
五月の末のことになるが 親日家で俳句愛好家としても名高い
EU欧州連合のファンロンバイ大統領が訪欧した菅首相に 
東日本大震災に因む<HAIKU?>を披露した
原文は英語らしいが それは承知していないので正確かどうかは不明だが 
<嵐去り後に残るは優しい心>
<三重の嵐は柔和な新風に>の二句だが季語がない(無季)
共に嵐は災害のことを表していて 三重(さんじゅう)は
地震 津波 原発災害を意味している と解説されていた
これに対して菅首相の応答は
「心に染みるような<俳句>をありがとうございました」という体たらく
果たしてこの二句を<俳句>あるいは<HAIKU>とするかどうかはさておき
<詩>とすれば 何の問題もなかっただろう
「心に染みるすばらしい<詩>をありがとうございました」なら上等だった
 
「俳句は志の文芸」
俳句を自得するために学ぶに 釈迦の最初の説法において説かれたとされる 
仏教の八正道(はつしやうだう)の教えが適切なので 
修行の基本となる八種の実践徳目を以下に列挙 正見 正思惟 正語 正業 正命正精進 正念 正定 すなわち正しい見解 決意 言葉 
行為 生活 努力 思念 瞑想をいう(広辞苑)
僕はなかでも正精進=正しい努力に尽きると思っている
この教えの「正」とは真理に合った(叶った)自分本位ではない 
わだかまっていない 自然体つまり中道ということ
当句会は 参加することを楽しみ 喜んでいただける方々のためにある
当句会は参加する人には門戸を閉じず 去る人を追うことはしない
というのが当初からのポリシ−(来者勿拒 去者勿追)
それでも累計句数は序々に一里塚300句に接近しつつある
累計句数300〜500句くらいになった時点で成果をまとめたい
どのような形で発表するのがよいか アイデアを募集中
それを考えつつ 一人でも二人でも参加する方に喜ばれるいい句会にしたい


茶柱句会第三部「第18回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
6月22日〜6月30日締め切り 7月8日掲載(予定)
兼題は簾(すだれ)団扇(うちは)朝曇(あさぐもり)
あるいは自由題(当季)でご参加あれ 1人3句以内(1ツイ−ト3句以内)

震災復旧等の影響で横町への掲載日程が
変わることもありますがご了承下さい

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