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あきら「茶柱句会 第三部 第15回茶柱ツイッタ−句会」

─俳句を遊ぼ─
「第15回茶柱ツイッタ−句会参加作一覧」

(着信順 投句のまま)
5月8日〜5月15日締め切り分
一人三句まで(1ツイ−ト3句以内)
兼題なし(当季・初夏・仲夏)


柏餅笑顔一番佳き店の

山麓を阪急電車夏きざす

初鰹きつぱり藁でたゝきかな
(以上三句 大阪市 あきら)


新茶汲む不老長寿を疑わず

手作りの垣に縺れる郁子の花

烏賊釣りや原発近き色の浜
(以上三句 加古郡 はつを)(代ツ)


五月闇しづ子の句集閉ぢにけり

特急の煙残りて梅雨深し

紫陽花ややつぱり似合ふ雨と傘
(以上三句 西条市 田所良雄)


ドミソミド発声練習聖五月

蜜豆や家族三人水入らず

紫陽花のやさしい音楽あればいい
(以上三句 鈴鹿市 yanbuo)


遠青嶺切絵のごとく連なりて

母の日や未だ苦手な母の役
(以上二句 神奈川 みゆき)


<同人欄>
「新樹」 あきら(代表同人)vol.3
薔薇園の小さい大人迷路めく

葉桜や風のオブジェの空の齎る

鉄線の紫色やインヴォルヴ

浮瀬亭跡の学校薄暑かな

初鰹武士の一分あるごとく

常若と無常のことや合歓の花

未那ゆへに新樹の礫浴びにけり

国に欠く泰山木の花の格

字句補足説明
順番に
薔薇 葉桜 鉄線(てつせん)薄暑(はくしょ)初鰹(はつがつを)
合歓の花(ねむのはな)新樹(しんじゅ)
泰山木の花(たいざんぼくのはな)が夏の季語
小さい大人 近代以前の古いヨ−ロッパの子供観(アリエス「<子供>の誕生」)
風のオブジェ 新宮晋(1937年〜)の作品がビルと一体化して街の中にある
霽る(はる)晴れると同じ はればれとした様子 斉々のニュアンスを強調 
鉄線 鉄線花のこと 
インヴォルブ(involve)抱き込む 包み込むという意 マクル−ハンの用語
万博の前年1969年に大阪でヴァイオレット・インヴォルヴという
コンセプトのディスコ(スペ−ス・デリシャス)を設計 
床から椅子・机・天井全てを紫色の毛足の長い絨毯で覆った
浮瀬亭(うかむせてい)江戸時代 大坂料亭番付筆頭の一流料亭の名 
蕪村など文人墨客が利用 芭蕉も再三句会を催した
現在は大阪星光学園(天王寺区伶人町)
<松風の軒をめぐりて秋くれぬ>の芭蕉の句碑がある
薄暑 初夏のやや汗ばむような暑さ
武士の一分(いちぶん) 一身の面目 山田洋次監督「武士の一分」(2006年)
新樹 若葉におおわれる初夏の木立 瑞々しい生命力の漲り 眩いほど美しい
新緑は主に風景に用いられる
常若(とこわか)は いつも若々しいさま 神道の基本精神
無常(むじやう)は 一切のものは生滅・変化して常住でないこと 
仏教の教え(広辞苑)
未那(まな) 成唯識論の八識の第七識(未那識)八識・阿頼耶識の一歩手前
生きている限り常に持続する 自己愛の根源としての迷いの心(広辞苑)
どうにもいまのお国柄はよろしくない 
泰山木の花の気品と格を見ればなおさらだ


「あぢさゐ」 良雄(同人)vol.2
五月闇犬と其の人浮ぶのみ

短夜をながなが寝ての鳥の声

あぢさゐや大粒小粒雨の粒

蟇人に頼らぬ吾となりぬ

ながながと蚯蚓にしょんべん小さきまま

園児らの職場訪問額の花

あぢさゐの家を巡りて傘畳む

字句補足説明
順番に
五月闇 短夜(みじかよ)あぢさゐ 蟇(ひきがへる)
蚯蚓(みゝず)額の花(がくのはな)が夏の季語

新同人 はつをさんの同人欄への掲載ははつをさんのご都合によりありません
次回にご期待下さい

<講評>
「茶柱句会」主宰 あきら(茶柱ツイッタ−句会 代表同人)
今回の参加者は5名(73名)参加句数14句(196句)( )内は累計
新しく同人推挙を受諾された 加古郡のはつをさんの三句が味わい深い
<烏賊釣りや>の句 「色の浜」は西行・芭蕉の歌枕 
福井県敦賀市色浜(色ケ浜)敦賀の原発がま近 
過去の風光と現在の原発の恐怖の光景が巧みに詠みこまれた 
歌枕(うたまくら)とは 古歌に詠まれて残った諸国の名所 
少し長くなりますが 鑑賞を深めるために事例を引用
西行(山家集)潮染むるますほの小貝拾ふとて色の濱とは言ふにはあるらん
芭蕉(奥の細道)寂しさや須磨に勝ちたる浜の秋
はつを(茶柱句会)烏賊釣りや原発近き色の浜
このように歌枕は日本の詩歌に連綿と詠みつがれていく
これを深く味わうのも俳句ならではの楽しみのひとつ
郁子の花(むべのはな)郁子(むべ)だけだと果実を指し初秋の季語とされる
郁子の花は淡紅紫色を帯びた白色の花 
五月頃に咲く(季語歳では晩春の季語に入っている)
別名 トキワアケビ 秋になると紫色のアケビに似た実が成る 
蔓性の植物で垣に縺れる(もつれる)ように絡まる
西条市の田所良雄さん 俳句の懐が深い ホトトギスから自由律の山頭火
さらに異端とも思える鈴木しづ子(1910年生・消息不詳)も読まれる・・・
<五月闇>の句 五月闇(さつきやみ)とは 
梅雨の頃の鬱蒼とした暗さをいう昼間の厚い雲に覆われた暗さもあるが 
月のない闇夜のこともある(季語歳)
句集「春雷」「指輪」を残し 1952年突然失踪 
未だに消息不明の幻の俳人(清水哲郎「増殖する歳時記」にもいくつか作品が掲載されている)の暗澹たる人生を 当季の季語一発で言い止められた お見事
良雄さんの読まれたのは新刊「夏みかん酢つぱしいまさら純潔など」鈴木しづ子著(河出書房新社 1470円)「お奨め☆☆☆」とのこと 
鈴鹿市のyanbuoさん 爽やかな三句で果敢に挑戦
前回の講評に対して「Aの方向性を伸ばすにはどうすればいいか」と
早速質問してこられた 「俳句の器を活かして自然体で作ること」と答えた
<密豆や>の句が微笑ましい すぐに実践 素直に反応できるのも若さの特権
こういう方はますます伸びる
俳句にとっての敵は頑迷固陋と不勉強 
参考のために 僕が鑑みにしている一句を挙げておきます
<くろがねの秋の風鈴鳴りにけり>
五七五の定型の窮屈さも感じさせず 句意も明瞭かつ余韻がある
この揺るぎない句の作者こそ飯田蛇笏(1885〜1962) 
さて三句目の<紫陽花や>の句 いわんとするところは分らないではないが
中七が八音だったり「切れ」がないため 冗長な散文になった
五七五の基本リズムを意識して「切れ」を工夫すればいい俳句になるはず
ここからが勝負 次回の参加を期待しています
神奈川のみゆきさん<母の日や/未だ苦手な母の役>母なのに 
なぜか母の日の母役に戸惑う 初々しい母である作者の内面が詠まれた 
切れが利いた佳句

お知らせ
腕試しにいかがですか?
◎第46回子規顕彰全国俳句大会(主催 松山市立子規記念博物館友の会)
応募締切2011年6月30日必着 HPに募集要項 応募用紙ダウンロ−ド可
◎第15回毎日俳句大賞(主催 毎日新聞社)
応募締切2011年8月25日(消印有効)
インタ−ネットでの応募も可 
http://books.mainichi.co.jp/内の規定のフォ−ムで送信可 
募集要項も掲載されています
◎第19回西東三鬼賞(主催 津山市 西東三鬼賞委員会)
応募締切2011年11月30日(消印有効)
応募要項等は上記名称からインタ−ネット検索可
西東三鬼(さいとうさんき)(1900〜1962)

茶柱句会第三部「第16回茶柱ツイッタ−句会」のお知らせ
5月22日募集〜5月29日締め切り 6月8日掲載(予定)
兼題は特にありません 自由題(当季・仲夏)でご参加下さい
1人3句まで(1ツイ−ト3句以内)

震災復旧等の影響で横町への掲載日程が
変わることもありますがご了承下さい

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