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井上あきら習作篇 その四十一 当季雑詠
「曼珠沙華」
稲光都市伝説に神隠し
水煙の天女の衣秋の風
露草の色深き藍小さき贅
外野手は露草を避く草野球
紺碧の道草の果て曼珠沙華
ユーラシアの離れ小島や大相撲
地核指し傾ぐ茶柱天の川
夏木立つ鉄と硝子の長のごと
<字句補足説明>
【本稿の季語の説明については その多くを角川書店編
「第三版俳句歳時記 秋の部 」ならびに「季語と歳時記の会」の
インタ−ネット上に掲載された内容を参照しています】
九日二十日は敬老の日
今日は十五夜 中秋の名月
今回の主題は「曼珠沙華」(まんじゅしゃげ)
彼岸花はともかく 死人花などとかく忌み嫌われもの
今回はデンと主役の座に据えた
「稲光」(いなびかり)が秋の季語 雷なら夏の季語
都市伝説という用語の意味は 普通の人によって口承される物語のこと
1969年にフランスの社会学者エドガ−ル モランによって提唱された
神隠しは 人などが急に行方知れずになること
昨今では 百歳超の長寿者が戸籍(住民登録)上は存在するのに
実際には死亡していたり 所在不明になっている事態が数多く発覚(300人弱)
現代版神隠し 稲光が神の怒りを象徴
「秋の風」(あきのかぜ)が秋の季語
水煙(すゐえん)は五重の搭などの頂部にある九輪(くりん)の
最上部にある 火焔形の透かし彫りの装飾
火災による火を忌み 調伏する願いをこめてデザインされた
僕には西ノ京・薬師寺の東搭の水煙が原点
見えない風まで見えてくるよう
触発された歌は會津八一(1881〜1956)
<すゐえん の あま つ をとめ が ころもで の
ひま にも すめる あき の そら かな>
和辻哲郎(1889〜1960)の「古寺巡礼」とともに「まほろば」を逍遥
「露草」(つゆくさ)が秋の季語 二句
俳句を始めるまで露草は夏のものだと確信していた
ところが 歳時記では秋の季語
土にはりつくように群がって咲く
<一>小さいが よく見ると蘭のように妖艶な花
その藍色は深く美しい 野におくには贅沢すぎる
<二>草野球のグラウンドでは 外野の守備位置は草叢
露草を避け(よけ)て踏まないように気をつけたものだ
「曼珠沙華」(まんじゅしゃげ)が秋の季語 彼岸花
仏教では天上に咲く花という立派な名前ながら
土葬のころの墓場の傍などに多く植えられたため
死人花などの異称をもらい 忌み嫌われがちな存在に
この句 純平さんの東京道草ボーイとともに主役に抜擢
金屏風ならぬ 紺碧の空にすっくと立ってもらった
「相撲」(すまふ)が秋の季語
昔は秋祭りの神事だったことから秋の季語入り
古代から続く相撲は豊穣を占う農耕儀礼にはじまり
のち宮中行事に取り入れられて今日に至る
国技と呼ばれる所以もここにある
日本相撲協会はご存じのように崩壊寸前
それを救ったのが53連勝超のモンゴル出身の横綱 白鵬
ユ−ラシア(Eurasa)はヨーロッパとアジアの総称
その大陸は地球上最大の大陸 その東端の離れ小島が日本
その昔 啄木が<東海の小島の磯・・・>と嘆いたところ
いまやユ−ラシア大陸各地から多くの力士が参戦(幕内19人)
彼らなしに大相撲は考えられない
賜杯も復活して秋場所が始まっている
江戸勧進相撲発祥の地 深川八幡の境内にある
「超五十連勝力士碑」に やがてその名が刻まれる
因みに歴代の筆頭は69連勝の名横綱 双葉山
「天の川」(あまのがわ)が秋の季語 銀漢
地球上の引力は地球の中心(地核)に向かっている
湯飲み茶碗の中で浮遊する茶柱とて この原理に抗えないはず
とすれば茶柱の下端は地核を指し示しているはず・・・
大宇宙の天の川と小さな茶柱との対比的取り合わせの句
「夏木」(なつき)が夏の季語 まだ猛暑日が続き 番外で追加
夏木は葉を青々と茂らせた 生命力みなぎる一本の木のこと
夏木立(なつこだち)は数本の夏木の場合をいう
鉄と硝子(ガラス)は近代建築の要の材料
摩天楼の前の一本の夏木はそれらを制して長(をさ)のごとく立っている
現代都市の一風景
(280句目)
<茶柱ツイッタ−句会のお知らせ>
一億人の俳句という向きもありますが 話半分 五千万人の俳句
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審査員も選者もいません 投句されたまま掲載されます
順位をつけたり 特別な賞を授与することもありません(添削もしません)
ル−ルは運営しながら随時定めてゆきますが
まず最低限 俳句といえる基本的ル−ルとして ただ一点
<五七五 十七音の中に季語を一つ入れること>と定めます
第一回のお題(兼題)はこの時期の代表的な季語でもある
「紅葉(もみぢ)」「柿(かき)」「秋刀魚(さんま)」とします
これらのうちから一つ選んで一句の中に詠み込んで下さい
自信のある方は「自由題(当季雑詠)」で詠まれても結構です
投句は一人三句までとします(1ツイ−ト1人3句まで)
応募締め切り日は9月29日とします(当日着信分も可)
当然のことながら
自作であること(著作権が本人なら 未発表かどうかは問いません)
作者名は本名でも筆名(俳号)でもかまいません
(一句ごとの末尾に作者の所在市名とともに表示下さい)
(例) 柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺(松山市 子規)
但し ツイッタ−に不慣れな家族 友人 知人の依頼による代筆ならぬ
「代ツイッタ−(代ツ)」は その旨を書き添えていただければ可とします
季語の判定については
インタ−ネット上の「季語と歳時記の会」
掲載の解釈を基本とします
http://ceigeocties.jp/saijiki_09/
将来 投句作品の全句集を印刷冊子化
あるいは電子書籍化することもあり得ますので
作品の著作権は主催者に帰属することをご承諾いただきます
質疑については 随時「茶柱ツイッタ−句会主宰 あきら」が
ツイッタ−上でも承ります 以上
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井上 明関連サイトリンク
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http://www.kurashikata.gr.jp |
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