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井上あきら習作篇 その三十三 当季雑詠


「青嵐」
ナイタ−や代打に向ふ背番号


まつさらの金網篩初夏の風


聖五月インタ−ネットに外連なく


青嵐に葉裏をみせる欅かな


薔薇盗人証拠残さず夜半の風


対岸で見てゐるだけの床開き




<字句補足説明>
【本稿の季語の説明については その多くを角川書店編
「第三版俳句歳時記 夏の部」によっています】

「ナイタ−」が夏の季語
和製英語nighterは夜間試合
米大リ−グではnight game
ドーム球場のない時代 夏の夜の納涼ということで 夏の季語
納涼のはずのナイタ−も試合が佳境に入ると
熱くなる 攻撃側のチャンスは守備側のピンチ
そこで登場するのが代打(なぜかピンチヒッタ−という)
どのチ−ムにも 一打席に賭ける
代打の切り札(神様というチ−ムも)がいる
チャンスに指名されて打席に向かう
スタンドの人は その背番号を見送る
背番号は 贔屓のチ−ム毎に異なるだろう
俳句では 具体的な背番号まで言わず
読み手に委ねる 読み手がいろいろ想像して完成させる
ちなみにプロ野球の球団ができたのは
1934年(昭和9年)の大日本東京野球倶楽部(現巨人)
翌1935年(昭和10年)に大阪野球倶楽部(現阪神)
初めてナイタ−設備ができたのは第二次世界大戦を挟んで
1948年(昭和23年)横浜公園平和野球場(現横浜スタジアム(1978年)の地)
1929年(昭和4年)に既に球場があり
1933年(昭和8年)米大リ−グ(ベ−ブル−スやル−ゲ−リックの時代)と
日米親善野球が行われた記念すべき地でもある

「初夏の風」(しょかのかぜ)が夏の季語
編みあがったばかりの金網篩(ふるひ)は銀色
大阪にも金網・篩加工の職人技が生きている
編まれる度に初夏の風が吹きぬけてゆくようだ

「聖五月」(せいごぐわつ)が夏の季語
聖五月は清らかな気候の五月というような意味
五月八日 関西ロ−カルのTV番組「住人十色」
(関西電力一社提供の毎日テレビの長寿番組)
に新宿七丁目にある住居と谷口夫妻が出演された
大都市のど真ん中に土地付きの一軒家を獲得されたのは快挙
ここは いわば茶柱横町の本拠地(聖地?)
ネットを活用して家付きの土地を入手
ネットを活用して業者を選び 家のリニュ−アル
ネットを活用して什器備品をオ−クションで購入
ネットを活用して茶柱横町を運営
なによりお二人の夫唱婦随(婦唱夫随?)ぶりに感心
この句 下五の<外連(けれん)なく>広辞苑によると
一 外連は演劇用語 見た目本位の 俗受けをねらった演出・演技
早替り・宙乗り・水芸の類  二 はったり・ごまかし
そこで<外連なく>とは<ごまかしがない>いう意
インタ−ネットは確かに便利なツ−ル
外連味たっぷりの様相も呈している しかし 手品ではないし
外連であってはならない 本質をよくわきまえた上で使いこなしたいもの
深い知恵でもって谷口夫妻は使いこなして成功された
茶柱横町も<ブログの集合体>の第二ステ−ジに向かっていると聞く
当句会も双方向性を活用した新企画を模索中

「青嵐」(あをあらし)が夏の季語 
青葉の頃に吹き渡るやや強い南風
繁茂した草木を揺り動かす風
この間まで艶々の新緑だった若葉も すっかり一人前の青葉になった
その分葉裏が白っぽく見える
正岡子規に<青嵐机上の白紙飛び尽す>

「薔薇」(ばら)が夏の季語
この時期 薔薇が満開 薔薇苑は香りに満ちている
翌朝 花は毀れて香りだけが微かに残っている
盗人は夜半(よは)よなかに吹いた青嵐に決まっているが証拠がない

「床開き」(ゆかびらき)が夏の季語 川床(ゆか)床(ゆか)
京都 鴨川の納涼床が五月一日から始まった
二条から五条までの2.5km 85店が床開き六月中にもう何店か加わる予定
今年はまだ寒く 対岸から様子見しているところ
(212句目)


井上 明関連サイトリンク
暮らし方研究会
http://www.kurashikata.gr.jp

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