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第11回 万葉歌の木簡発見

「一字一音式」表記

阿佐可夜麻加氣佐閇美由流夜真乃井能
あ さかやま かげさえ  みゆるやまのいの

阿佐伎己々呂乎和可於母波奈久尓
あさき  こゝろを わが おもはなくに

万葉集卷16に掲載されたこの歌の大意は
「(福島県)安積山の影まで映す山の泉ほど
私の心は浅くはありません」

陸奥国に派遣された葛城王が国司の接待が
悪く立腹
かつて采女であった女性(風流娘子<みやびのおとめ>)
ごこの歌を詠んで 王の機嫌が直った 
という歌物語が万葉集の編者によって漢文で記されている

この歌木簡は元来「難波津の歌」として
仁徳天皇の即位を祝ったもの
万葉集には掲載されていない

奈迩波ツ尓佐久夜己能波奈布由己母理
なにはつ にさくや この はな ふゆごもり

伊麻波々流倍等佐久夜己乃波奈
いまは はるべと  さくや こ のはな

として1997年に発見されていた

ところは 紫楽宮(しがらきのみや)<742〜745>跡
滋賀県甲賀市の宮町遺跡

再発見者は
大阪市立大学教授(古代史)栄原永遠男氏
(さかえはら とわお)

この発見がなぜ凄いことなのか?

平安時代に編纂された「古今集 仮名序」に
紀貫之が「歌の父母(ちちはは)」として
この二つの歌を賞賛しているため

その二つが同じ木簡の表裏に墨書されて出てきたことで大発見

愛知大学教授(日本語史・文字論)の犬飼 隆氏は
「出てこないと思われていたものが出てきた
しかも 注文通りのかたちで」
「一字一音式」表記は口頭で詠むための当時の便法

奈良大学教授(万葉論)の上野 誠氏は
「「歌の父母」は英語の「ABCの歌」のようなもの」
聞いた歌を書き留め 文字を学び 歌を学ぶためのもの
と述べている

再発見者の栄原永遠男教授の執念に敬服
すると共に この方面のいろんな学者の健闘に
拍手を送りたい
茶柱句会もその末端に繋がっているのです
(本稿は5月22日付け読売新聞の記事から
速報として抜書きしたものです)


<出展>
本稿における参考事例・内容解説などについては、特段の説明がない限り、
その多くをフリ−百科辞典「ウィキペディア(wikipedia)」によっています。
ここにその出展を明記させていただきます。

井上 明関連サイトリンク
暮らし方研究会
http://www.kurashikata.gr.jp

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