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第2回 都々逸
七五調の小粋な世界
手始めに「都々逸」鑑賞
<イ>惚れて通えば千里も一里
逢えずに帰ればまた千里
(作者不詳)
<ロ>この酒を止めちゃいやだよ
酔わせておくれまさか素面じゃいいにくい
(作者不詳)
<ハ>浮名立ちゃそれも困るが
世間の人に知らせないのも惜しい仲
(作者不詳)
<ニ>三千世界の鴉を殺し
ぬしと朝寝がしてみたい
(高杉晋作説、桂小五郎説、ほかもあり)
<ホ>逢うて別れて別れて逢うて
(泣くも笑うもあとさきや)末は野の風秋の風
一期一会の別れかな
(井伊直弼 茶湯一会集)
他に僕が若い頃口伝で覚えていたものをおまけに
<おまけ>紫は派手で綺麗で色立ちゃ佳いが
ぬしと同じで覚めやすい
(作者不詳)
*鑑賞<イ>の分析と解説
文中の数字は音数律を示す
惚れて通えば(七) 千里も一里(七)
逢えずに帰れば(八) また千里(五)
一部字余りがみられるがよくあることと気にせずに
意味はそのまま捻りなし
*鑑賞<ロ>の分析と鑑賞
この酒を(五) 止めちゃイヤだよ(七)
酔わせておくれ(七) まさか素面じゃ(七) いいにくい(五)
五冠といわれる五七七七五音数律の構成
正直な女心の唄と理解したい
*鑑賞<ハ>の分析と解説
浮名立ちゃ(五) それも困るが(七) 世間の人に(七)
知らせないのも(七) 惜しい仲(五)
これも五冠の事例
男女双方に通じる恋愛の心情
どちらかというと惚れた側の女の心情か
*鑑賞<ニ>の分析と解説
三千世界の(八) 鴉を殺し(七)
ぬしと朝寝が(七) してみたい(五)
基本的な七七七五の音数律
「三千」は仏教用語で千の3乗 10憶のこと
多い、大きいことの比喩 世界中のというような意
幕末の志士らしく気宇壮大
「ぬし」は人・相手の尊称 ここでは女を指す
映画などでおなじみの料亭での場面
尊王攘夷を実現させて情婦と朝寝がしてみたい
*鑑賞<ホ>の分析と解説
逢うて別れて(七) 別れて逢うて(七)
(泣くも笑うも(七) あとさきや(五))
末は野の風(七) 秋の風(五) 一期一会の(七) 別れかな(五)
七七(七五)七五七五の複雑な音数律
茶人でもあった大老 井伊直弼が一期一会の茶の湯の心得を唄った
*<おまけ>の分析と解説
紫は(五) 派手で綺麗で(七) 色立ちゃ佳いが(七)
ぬしと同じで(七) 覚めやすい(五)
五冠の事例
40年も前の記憶 未だに残っているのも七五調の語呂のよさ故か
意味するとろは
紫という色は高貴な色とされるが すぐに色醒めした
その性質を「ぬしの飽きっぽい気持ち」に掛けて
拗ねて甘えた女心の小粋な唄
試作
<イ>およしなしゃんせ(七) 都々逸なんか(七)
家でするのは(七) 野暮なこと(五)
<ロ>役人冥利(七) 責任取らず(七)
失政不正に(七)天下り(五)
あの世で閻魔に(八) 舌抜かれ(五)
ぼやき都々逸の色気なしで「ど〜もすいません」
師はこの程度だから すぐ乗り越えられる
恥ずかしがらずに実践を
<出展>
本稿における参考事例・内容解説などについては、特段の説明がない限り、
その多くをフリ−百科辞典「ウィキペディア(wikipedia)」によっています。
ここにその出展を明記させていただきます。
井上 明関連サイトリンク
暮らし方研究会
http://www.kurashikata.gr.jp |
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