茶柱横町 茶柱横町入口へ
 
 
プロフィールを見る
前を見る 次を見る

05 危険な時間


真夜中の一時
まだ眠気は訪れなく、部屋の中には静かな空気が流れる。
窓の外にくっ付いていた車の音も遠くに去りつつ、消えつつ...
隠れていた音楽が静かに音色を立てる。
ベットを離れ机の前に座ると危険な時間が始まる。

何でだ、何でだ、
この時間になると手紙が書きたくなるのは。
何でだ、何でだ、
この時間になると恋しい人の顔が浮かび上がるのは。
何でだ、何でだ、
この時間になるとコーヒーも、CDから流れる音楽も美味しくなるのは。
何でだ、何でだ、
この時間になるとペンが狂ったかのように滑り始めるのは。

数え切れない真夜中を手紙と向き合ったのでわかる。
この時間に書いた手紙の中でポストの中に入れたものは10本の指より少ない。
その10本の指より少ない手紙もポストに入れた途端、
取り出したかったものが殆どだ。

時計は12時をとっくに過ぎ、一時に向かい始めている。
机がぎらぎらと光始める。
引き出しがギシギシ音を立て、中の便箋がガラガラと騒ぎ始めている。
CDはセンチメンタルな曲を準備し、にやっと笑っている。
なぜコーヒーマシンのお前まで香りを漂わせるのか。
おいおい、みんな、寝ようよ。
いや、お願いだから寝かせてくれ。
ああ、ベットのお前まで私を引き離すのか。
時計のスピードと心臓のスピードが重なり合う。
ああ、もう逃げられない時間だ。

お待ちしておりました。
ようこそ、危険な時間へ。

22
335日ぶりの手紙

21
午前1時43分

20
今の気分?

バックナンバーINDEX
前を見る 次を見る
| 著作権について | このページのトップへ | 茶柱横町入口へ |