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地上最後の楽園は、今日も微笑んでくれるかな
<6>1日4000円以下!  激安車チャーター車の実情。


 車1日チャーター直接交渉40万ルピア以下で、どんなことが起こるか、実験してみた。とはいっても、明らかに身の危険を感じるような場合、一般観光客でも察知できるので、ぎりぎり判断が付かないグレーゾーンのケースを設定してみた。できることなら40万ルピア以下でもこんなすばらしい1日観光ができるというレポートにしたいのだが……。

 交渉相手を探す
 高級ホテルで、安いチャータードライバーはみつからない。安宿にはドライバーはまずいない。たまに宿のオヤジが1日ドライバーをしてくれることもあるが、それはレアケース。1泊3000円から4000円程度の中の中クラスの宿によく顔を出すドライバーに絞り込み、聞き込みを行った。サヌール、バイパスからマクドナルドの角をジャランダナウタンブリカンへ入り、最初の右カーブを左の脇道に入ったすぐ左手にあるワルマホテルにいるらしい。この宿に宿泊して若主人に、「1日バリ島を観光したいが、ドライバーを知っているか」聞いてみた。
 すると、目の前に座って、話をしていたバリ島の江口洋介風のにいちゃんを指さした。

 彼の名前は「ニョマン」。日本では次郎みたいなありふれた名前。宿の若主人もニョマンも日本語は話せないので、1日でまわりたい観光地を英語で説明する。ブサキ寺院→キンタマーニ高原(ランチ)→テガラランのライステラス→ウブドを通ってタナロット寺院の夕陽→デンパサールのジャランガシャマダのルート。1日拘束、時間決めをすると、遠回りして無理矢理時間オーバーされる心配があるので延長でも同一料金、通行料、駐車場代込み料金を尋ねる。
 ニョマンは、このコースだとキンタマーニ高原へ早く着きすぎてしまうのでバトゥブランでバロンダンスを追加できるという。合計1日拘束オール込みで35万ルピアでどうだという。
 いきなり安い。この安さの理由はなんだろう。交渉するまもなくラストプライスから始まった感じ。とりあえず車を見せてもらった。古いが日本製の小型ワンボックス。断る理由もなく、これ以上交渉することの正当性も見つからずその場で契約成立。明日朝8時30分出発で約束をして別かれた。

 翌日、朝8時からニョマンは待機していた。バトゥブランのバロンダンスが9時30分に始まる。サヌールからバトゥブランまで30分。ゆとりのあるスケジュールだ。バロンダンスの会場まで行くと、車を止めて、チケット売り場まで案内して窓口で通訳してくれた。そして、公演終了後はあの出口で待っているからと、指をさした。料金があまりに安かったから、シロウトのアルバイトかと思っていたが、その慣れた手順から、ある程度のガイド兼運転手としてのキャリアを感じた。
 バトゥブランからブサキ寺院へ向かう間も、村の名前と特徴を簡単な英語で説明してくれる。そしてお約束のように、チュルク村で予定外の銀細工の店へ立ち寄った。こういう機会でないとこんな店に行くこともないので、中に入って見るものの、店のシステムはわかっているし、そうじゃなくても興味がないのですぐに出た。毎度お馴染みガイドのコミッション分が上乗せされた価格で提示される割高な店なのだが、日本人ツアー客などは、ガイドにチヤホヤされて連れてこられるので、勢いで買ってしまう人も多い。
 ニョマンに、おみやげ屋はいらないと伝え、ブサキ寺院へ向かう。
 寺院は許可を持つガイドしか入れないので、駐車場で待っているという。

 拝観し車に戻ると、茶色いザラザラした丸い果物をくれた。「スネークフルーツ」だ。蛇の皮に似ている皮を剥けば、にんにくのような白い果肉がでてくる。味はほのかに甘くて薄いカルピスの味がする。リクエストしていない銀細工屋に連れて行ったおわびなのか、たんに自分が食べたかったのかはわからないが、悪い奴ではないような感じがしてきた。
 ブサキ寺院をあとにキンタマーニ高原へと向かう。途中料金ゲートがあり約束通りニョマンが払うはずだが、私が財布を出すそぶりを見せたため、私がお金を出すまで、奴は待っていた。5000ルピアの話ではあるが。

 キンタマーニ高原には3つの有名な外国人観光客向け食べ放題レストランがあるが、その中ではチープな15万ルピアの店へ案内された。味は、なかなか、景色は最高なので、特に不満はない。ここに案内すると、ニョマンにはコミッションプラスランチがいただける。ただ、必ずこういった店へ行かなければいけない理由はない。ローカルでチープな食堂へ行きたいと言えば、たいてい案内してくれる。今回は、35万ルピアの約束だったので、少しくらい、コミッションが入る店でお金を落としてやろうと思った。しかし、ここで日本人のいいひと感覚で、「一緒に食事しよう」などと誘ってはいけない。立場が違うことを覚えておきたい。コミッションが入るレストランなら、レストランがガイド用の食事を用意してくれることもあるし、客と同席して食事をするガイドなど論外だ。誘われるほうも良い迷惑。本当にそんな気持ちがあるなら、最後にチップとしてすこし料金に上乗せしたらいい。

 午後から、ウブド、サヤンフォーシーズンスを経由して、田んぼの間を縫うように車は走り、タナロット寺院へ向かう。時々交差点で、エンストしたり、シートの下のエンジンルームから、オイルの臭いが漂うことを覗けば、特に大きなトラブルもなく車は走った。タナロット寺院の駐車場と入場料が同じ窓口だったため、便乗して駐車場代まで払わそうとするセコさはあるが、それを指摘する程のことでもない。
 デンパサールのジャランガシャマダで、漢方薬の「五黄」を探す。ニョマンにとっては初めての経験だったらしく、興味深く、「それは日本人に人気があるのか」「いくらするのか」聞いてきた。また、漢方薬局では英語が通じず、ニョマンの通訳が役に立った。

 漢方薬店を出たときに時間はすでに夜8時をまわっていた。デンパサールのナイトバザールに立ち寄る夕食をブンクスして、ホテルへ戻ったのが9時。合計11時間30分のチャーター。約束どおり35万ルピアをはらう。「疲れた」と連呼していたが、「チップをよこせ」とは一言も言わなかった。駐車場代をこちらに払わせていなければ、チップをはずんでもらっていただろうに、ちょっとだけおしい男だ。

 結局35万ルピア1日チャーターは、料金以上の満足感が得られたいい1日となった。安く車をチャーターするコツは、「悪どくなさそうな宿の主人に集まるドライバーを見つけ出す」。
 では、どうやってそんな宿を探せばいいのか。
 私は、普段観光中にちょっとよさげな宿をみつけたら中に入って、部屋をチェックするようにしている。その時の、案内の質、対応でその宿を評価するようにしている。感じのいい宿には、それなりのドライバーが集まるものだ。
それまでは多少高い料金を払っても、身元がしっかりした車を選ぶ。何回か乗っている間に、自分に丁度良いクラスがきっとみつかるだろう。

<6>
1日4000円以下!
激安車チャーター車の実情。

<5>
バリ島のキャッチセールスに
キャッチされてみました。

<4>
日本人を知り尽くした、
日本語ツアーの醍醐味。

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