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「未熟とは「未(いま)だ熟さぬものの、やがて確かに熟するもの」のことをいう。いつまでも熟することのないものは「不熟」といい、結局は、熟することなくいのち果てるもののことだ。つまり「未熟」と「不熟」は対極(正反対)に位置するものである。というわけで「未熟なる若い衆」とは「有望な可能性に充ちた若者」の意味である。

第17回
「隠れ脱水」にあらずして「隠れ転進」


 あのイチロー選手が全野球ファンの注目を集めて「転進」を果たした。
 実は、野球ファンとしては中途ハンパな小生だが、イチロー選手にはずっと好感をもってきた。

 というのも、夫人の弓子さんのファンでもあって、「あの彼女が惚れた男性」だという認識が大きく作用しているかも。
 弓子さんの結婚前の名は福島弓子さん。TBSのアナウンサーだった。
 毎日60分間のラジオ生放送「好奇心の大統領」の制作スタッフとして1年間、バッチリご一緒した仲だ。それはそれとして、もちろんイチロー選手ご本人のクオリティがいいからである。

 ゲーノー・ラジオ・テレビ業界には、トンデモナイとか、ヘンテコリンとか、コレッテナニ?とか、まぁ、マトモニツキアッテイラレナイなんという人種がいる。
 でも、あの福島弓子さんはホントに素敵なレディだった。

 どうでもいいコトだけど、かく申す本庄慧一郎の本名は望田市郎で、幼い頃は「イチローちゃん」と呼ばれていたのダ。


イチロー少年
 小学校4年生の「イチローちゃん」
 当時の大都映画の映画監督 叔父・大伴竜三撮る

 野球選手のイチロー君が「転進」する時は、世界的話題になり、多額のマネーが動く。
 こちらの「イチロー君」の場合は、「転進」を果たそうとする場合、世間で話題にはならず、マネーについては、むしろ減収とかソレをあきらめる……といった状況を覚悟しなければナラナイのである。

 昨年の「3・11」以後、「気持にブレ」が生じ、自ら「転進」を考え、そのための努力をしてきた。
 演劇を志して、まず、叔父である劇作家・小沢不二夫(1912年〜1966年/ムーランルージュ新宿座出身)に弟子入り、その後、小沢不二夫が主宰する「むさしの演劇ゼミナール・文芸演出部」に入る。その小沢不二夫と親交の深かった劇作家三好十郎氏主宰の「劇団戯曲座・文芸演出部」に学ぶ。


鬼の会
小沢不二夫主宰「むさしの演劇ゼミナール」へ寄贈された、
当時の商業演劇の劇作家たちの連名額。

 おのれが志望する時と場所を得ながら、生活費を得るために民放ラジオ・テレビで仕事をして、その後、広告業界に。TVCF制作の仕事ではよく働き、実績をあげた。
 しかし、それらの仕事がイヤになり、時代小説書きに「転身」した。

 どのフィールドの仕事も恵まれてはいた。けれど、やがて「シックリしない」という気分をもて余すようになる。
 そしてまた今回「転身」の2文字をしきりと意識して、その機会をねらっていた。
 「ぜいたくな暮らし」も「別荘」も「世界旅行」も、はたまた「美食」もどうでもいい。でも、その時の自分にしっくりくる仕事をプロとしてやっていく――このワガママは貫きたいと思っている。

 当時、20歳だった東大生柴田恵子(現・評論家の樋口恵子)さんの推挙もあって、劇作家三好十郎氏を訪ねて、団員になった。
 そして、半世紀以上を経て、劇団戯曲座で出会った睦五朗氏(当時は本名・中西清二)にお会いするための連絡をとった。
 俳優・睦五朗氏は、映画・テレビの現代もの、時代ものなどの個性的な俳優として、またアメリカ映画「逃亡者」他の吹き替え声優としての活躍は熟知していた。
 その彼が現在、ビッグな規模のタレント養成所の主任講師として後進の指導に専心していて、快く再会のチャンスを作ってくれた。
 そして、舞台のホンを書くチャンスをもらった。


フライヤー表


フライヤー裏


台本表紙

 清らかな水も1ヶ所にとどまると腐る。
 小生にとっての「仕事の場所」も同様のことがいえるようだ。

 小生の文筆業の起点は演劇だった。
 あらためて、その仕事と「これからの自分」に向き合う昨今だ。
 「転進」を「転身」とか「転深」と言い換えてみる。
 「からだを転ずる」「さらに深く考えて転じてみる」とか。
 もうひとつ「転信」――「おのれのこれからを信じて立ち位置を転じてみる」という表現もある。
 そうだ!「転落」というのもあるもンねぇ!

 畏敬する劇作家・故井上ひさし氏の創作コンセプトをあらためて反芻して、新しい意欲をかきたてる、2012年炎暑の盛夏である。

P.S 
「茶柱横丁」はスタートして丸7年になるとか。
「長屋のあるじ」である谷口純平さんのおかげですね。
アメリカ映画に「7年目の浮気」というのがあったけど、
「浮気」はともかく、仕事に対してはあくまで「ヤル気」
「ソノ気」「トコトンしつこく」でいきましょうね? ご一同さま。



おヒマの折には小生のHP
「社会&芸能つれづれ愚差」
http://www.mochi-well.com/

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まじめなことをゆかいに。
そしてゆかいなことは、あくまでもゆかいに。

第25回
「それにしても……」
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ヨロコベルことなどある?

第23回
作家・錯覚・三角・四角

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