「未熟とは「未(いま)だ熟さぬものの、やがて確かに熟するもの」のことをいう。いつまでも熟することのないものは「不熟」といい、結局は、熟することなくいのち果てるもののことだ。つまり「未熟」と「不熟」は対極(正反対)に位置するものである。というわけで「未熟なる若い衆」とは「有望な可能性に充ちた若者」の意味である。
第4回 からだの中に棲む野獣
痴漢オン・パレード
「痴漢」を広辞苑でひく。「(1)おろかな男。ばかもの。しれもの。(2)女にみだらないたずらをする者」とある。
そして、本庄慧一郎事典では「痴漢とは地獄人生への一里塚」となる。
朝、暗いうちに起きて複数の新聞を読む。
やたらウソっ臭い政治家たちの詭弁(ごまかしの言いのがれ)と、欲まみれ金まみれの横領事件。そしてやたら目につくのは性犯罪とワイセツや痴漢の記事である。
「性犯罪から子どもを守る」のシリーズをはじめ、埼玉県警の巡査部長(32)が「路上で下校途中の女子中学生ら数人の前でズボンのチャックをおろし下半身を見せた疑い――」であり、静岡県警が「女子高校生に現金を渡し、わいせつな行為をしたなどで(略)同県市立高洲中学教論(41)を逮捕――」。かと思えば「警視庁及び滝野川署は風俗店から派遣された少女を買春したとして広島市(略)の住職兼保育園長江原一之(73)を――」とまあ、きりがない。
ちょっと前にも「スーパーフリー」などと名乗るクレージーな若者集団の強姦事件もあったし、大学スポーツ部の学生らの同種の事件のあれこれも記憶に新しい。
彼らはいま、どんな思いで、どんな暮らし(拘置所&刑務所?)をしているのか。
自己抑制というブレーキ不能の人間
列車でも、自動車でも、いや足でこぐ自転車でも、ブレーキが故障していれば暴走して大事故を起こす。
人間もまた、自分勝手な欲望のブレーキが不能であれば、ひたすら破綻というコースを転げて拘置所―刑務所―そして暗澹たる人生の穴ぼこに嵌(は)まる。
あの愚かしい悪夢のバブル経済期と、さらに昨今のミニ・バブル期などで、またまた、欲まみれ、金まみれ、色欲まみれのカンカン踊りはド派手になるばかりである。
そういえば、フェアな精神のオリンピックにかかわる日本スケート連盟での「不透明な金銭の行方」事件も、やたらうさん臭い。
ここにも「自分勝手な欲望のブレーキ不能の人間」がのさばっているようだ。
男のからだの中に棲む野獣
ペットの猫や犬のように、いつも従順に飼い主になついてくれる動物はいい。いや、すぐに素直になついてくれる動物だからこそペットにするのだ。
でも、人間のからだ(とりわけ若い男のからだ)には、たやすく手なづけられない野獣が棲んでいるのだ。
このケモノは、飼い主自身が野放しにしたり、しっかり調教することを怠けると、周囲の者たちを犠牲にし、やがて飼い主自身を食い殺すことになる。
では、その体内に棲むとんでもないケモノをどう飼育し管理するか? いや、そのケモノがほんらい持っているパワーをどうやって自分のものとして役立てるか? それを考える人生の時を「青春」というのだ――と考えている。この「青い」という字は、未熟――これから熟するという意味だ。将来のために備えるのが現在(いま)なのだということだ。
それこそ、軽々しく、愚かしく、ゆめゆめ「痴漢」などというハレンチな犯罪人に堕落しなさんな。
では、どうすればいいか? この答えは人それぞれ。1+1=2なんてカンタンな答えはあり得ない。
やっぱり、努力や我慢や誠意や、質の良い想像力と創造力が必要だ。別の言葉でいえば「着実」である。この青春期における営みは、実はとても刺激的でオモシロイ。そしてきっと、それを手に入れた者の人生を熱くエキサイティングにする。
あれこれ、一緒に考えてみよじゃないか。
急がなければならないが、あわてるてな、若者諸君!
「週変わりエッセイ・ニッポンの芸能人」http://www.mochi-well.com/
どうぞごらんのほどを。 |