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其の四十 無限
世界が無限か否かという命題があるそうで、
その解については誰かに任せて置くとして。
無限について考え始めると頭がクラクラしてすこぶる楽しい。。
本来は「存在」やら「空間」やら「時間」やら、
えらく難しいことが絡むそうだが、
自分ばかりは絡まないことにして、
そのクラクラだけを勝手に味はっている。
不思議で少し怖くて可愛らしくて面白いことが、ひどく好きなのだ。
「無限について考えること」は私の好みに合っている。
「無限の話」という本を読んでいたら、
林檎の木を植え続ける男の話まで飛んで行ってしまった。
世界は空間も時間も無限だとする。
すると、男が永遠に林檎の木を植え続けても、
「いつしか大地はリンゴの木でいっぱいになりました」という
目出度い結末は永遠に来ないと言う。
もっともなのだが、徒労感のある話ではないか。
考えただけでシャベル一掬いの土も掘りたくなくなる。
やる気が失せて、またクラクラする。
宇宙空間が無限で視力も無限だとする。
視界の果ては全て、いずれかの星にぶち当たるので、
宇宙空間と雖も闇には見えないと言う。
果ては全て星だらけに見える。
これまたクラクラする。
考えても詮無いとなれば、何を考える気も失せてしまう。
そもそも全ての意味が失われては、何が何だか分からず、
もう、途中だろうが結果だろうが、クラクラしてしまう。
投げやりな気分が楽しい。
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