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その13 新春

 いつも年明けには「カチッ」と音を立てて、暦が替わるような気がします。その音と一緒に、これまでのことが少し遠ざかってやれやれと思い、物事がうまく行きそうな気になってきます。今年は特にそんな気がします。そう思えるのは幸せで、あながち裏づけの無いことではないと思っています。努力は報われると、体験から学んだように感じます。忍耐は体力になり、涙は癒しになり、願ったことは叶うのだ、という実感です。

 3年前の春、ある痛手の中でイメージワークに取り組んでいました。その時出会った象徴が昨年末に再び表れて、私の中の痛手を包んで持ち上げました。静かに心の場所から引き上げていきました。柿の種がぬめる袋につつまれて守られるように、私の痛手も痛手のまま、つつまれて守られています。それで良いと気づいて、安堵しています。

 時に「アサーティブであること」が誤解されて、呪縛になることがありますが、私の「痛手」もそのような一つでした。よく論議されるのは「12の権利」の5番目、「私には、『イエス』、『ノー』を自分自身で決めていう権利がある」についてです。たとえば、自分の苦手な相手に、「私はあなたが嫌いだ」ということはアサーティブなのか、といった様に、「好き」「嫌い」をハッキリ言う事についての論議です。もちろん「私はあなたが嫌いだ」と言うのはアサーティブではなく、攻撃です。

 なぜ攻撃なのでしょう。それは相手の人格を貶めるからです。なぜ相手を貶めるのでしょう。ひたすら私が苦しくて、苦しさから逃れられない自分を責め、苦しみを人から押し付けられるように受け取り、相手を嫌い、貶めることになります。

 私はしばしばこの苦しさに嵌ります。嵌りやすいのは、その前に「思いやりの落とし穴」に、足を捕られることが多いからです。「良い人でいたい」「相手に好かれたい」と思って、「アサーティブなノー」を言わずにいるうちに、苦しさのぬかるみでもがくようになります。「アサーティブなノー」は、相手の人格を否定せず、相手の要望や欲求を断ります。でも、出ようと何とか這い上がるときは、もう相手を振り落とさなければ生きられないような心の状態になって、最後の力を振り絞り「誰にも好かれなくってよい」「大嫌い」と叫び出します。

 象徴に救い出された痛手は、「ノー」と言えない果てに、もがく自分でした。ありのままの苦しい自分を、「そのままでいいよ」と認めた感じです。自分に鞭を打つ代わりに、そんな自分を愛してつつんだ感じがします。愛して救うことで、アサーティブな地平がこころに拡がり、やさしくて強く逞しいメッセージとして、「イエス」「ノー」を表現することが始まります。朗らかさが心の中で躍っているとき、人は希望と自信をとり戻すのでしょう。


「12の権利」*********************************************************
<1>私には、日常的な役割から自立した一人の人間として、自分で物事の優先順位を決める権利がある
<2>私には、賢くて能力のある対等な人間として、敬意を持って扱われる権利がある
<3>私には、自分の感情を言葉で表す権利がある
<4>私には、自分の意見と価値観を延べる権利がある
<5>私には、「イエス」、「ノー」を自分自身で決めていう権利がある
<6>私には、間違う権利がある
<7>私には、考えを変える権利がある
<8>私には、「わかりません」という権利がある
<9>私には、欲しいものを欲しいと言い、したいことをしたいという権利がある
<10>私には、人の悩みの種を自分の責任にしなくてよい権利がある
<11>私には、周囲の人から認められることを当てにしないで、人と接する権利が=∴ある
<12>私には、アサーティブでない自分を選択する権利がある

「こころのちからメッセージ」**********************************************
<1>私は、私が何をするか、どれから始めるかを自分で選んで決めていい
<2>私は、自分の良いところや能力を、ちゃんと認めてもらっていい
<3>私は、自分に素直になって、人に感情を伝えていい
<4>私は、自分の意見や価値観を、正直に相手に伝えていい
<5>私は、他の人の気持ちにではなく、自分のきもちにそって、「はい」、「いいえ」を言っていい
<6>私は、まちがえてもいい
<7>私は、きもちや考えが変わったら、無理にがまんせずに、決めたことを変えていい
<8>私は、わからないことがあったら、教えてもらっていい
<9>私は、自分の一番の希望を、いつでも相手に伝えていい
<10>私は、人の悩みを、自分のことのように背負わなくていい
<11>私は、周りの評価を気にせずに、自分の考えややり方を伝えていい
<12>私は、私のままでいい

その19
虹の向こう 山の彼方 飛ぶ鳥

その18
降る花

その17
春が来た 春が来た

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