茶柱横町 茶柱横町入口へ
 
 
プロフィールを見る
前を見る 次を見る

その8 夏休み

前回お便りしたのは春休み。あれから急に忙しくなって、気がついたら今度は夏休み!……現実の暦ではその通りですが、私の心境は、忙しかったというのとは少し違います。「あれからずっと炬燵でうたたね。目が覚めたら、夏休み」という感じです。
 そう。居心地の良い横丁の小さな居間で眠りこけ、わけのわからない夢を見続けていたような気分です。途中で何度か大家さんに声をかけられたような気もしますが、「はいはい」と返事をしながら、また夢の続きに溶け込んで、言葉にならない体験に身を任せていました。

今パッキリ目が開いて、目の前の障子を見つめながら考え込みます。「なんだっけ、今見ていた夢は。なんだかとっても大事なことだった」。おぼろげながら、光景が見えてきます。
 そう。アサーティブネストレーニングの夢を見ていました。私は、一生懸命「それ」を探していて、見つけて「あった、あった、アサーティブネスがここにあった!」と興奮して喜んでいます。
 それはイギリスのストーンヘンジの建つ原っぱにあって、やはり巨大な石で出来ていました。12の石柱がぐるりと円を描いて建っています。それはアサーティブネスで言うところの「12の権利」です。石のひとつひとつに、権利の文言が彫られていますが、文様のようでそのまま文字とは読み取れません。でも私は「これ、これだ!」と確信し、古代遺跡を見つけた冒険家のように、体中に力が漲ってきます。

夢は急に途切れて、今は深い森の上を飛行しています。森の切れ目の草地に、輪になって踊っているものが見えます。白い服を着た12人の小さな人たちです。急降下していくと、彼らの歌声が聞こえます。「〜していい、しなくていい」、「〜していい、しなくていい」と節をつけて繰り返しながら、足を上げたり廻ったり、手を打ったり、自由な身振りで踊りふけっています。
 「ああ、見つけた!」と私は叫びます。彼らはアサーティブネスで言うところの「こころのちからメッセージ」の連中です。彼らは神社の奥宮の、その裏に控える深山に生きています。

……私はイギリスで系統立てられたアサーティブネストレーニングを、日本で広める仕事をしてきました。
 「12の権利」という堅牢な礎を知った喜び、それを私の感性と体で腑に落ちたものにする試み、それがずっと続いているのです。
 仕事中の私は、未だに彷徨っているようなものです。「12の権利」は英語の翻訳、「こころのちからメッセージ」はその意訳なので、夢の中の巨石と、踊る小さな人たちは、同じものの違う現れです。

私は今、この夢の中身を少しずつ思い出しては書いてみよう、と思います。なんと言っても夢の中の出来事ですから、どれだけ言葉になるかわかりません。それでも、宝探しのように、何かとてもワクワクしています。ときには悪夢にも立ち会いますが。
 まずは巨石の「12の権利」と、踊る「こころのちからメッセージ」をご紹介し、折々に、それぞれに込められた意味合いや、体験を伝えていきます。

「12の権利」*********************************************************
<1>私には、日常的な役割から自立した一人の人間として、自分で物事の優先順位を決める権利がある
<2>私には、賢くて能力のある対等な人間として、敬意を持って扱われる権利がある
<3>私には、自分の感情を言葉で表す権利がある
<4>私には、自分の意見と価値観を延べる権利がある
<5>私には、「イエス」、「ノー」を自分自身で決めていう権利がある
<6>私には、間違う権利がある
<7>私には、考えを変える権利がある
<8>私には、「わかりません」という権利がある
<9>私には、欲しいものを欲しいと言い、したいことをしたいという権利がある
<10>私には、人の悩みの種を自分の責任にしなくてよい権利がある
<11>私には、周囲の人から認められることを当てにしないで、人と接する権利がある
<12>私には、アサーティブでない自分を選択する権利がある

「こころのちからメッセージ」**********************************************
<1>私は、私が何をするか、どれから始めるかを自分で選んで決めていい
<2>私は、自分の良いところや能力を、ちゃんと認めてもらっていい
<3>私は、自分に素直になって、人に感情を伝えていい
<4>私は、自分の意見や価値観を、正直に相手に伝えていい
<5>私は、他の人の気持ちにではなく、自分のきもちにそって、「はい」、「いいえ」を言っていい
<6>私は、まちがえてもいい
<7>私は、きもちや考えが変わったら、無理にがまんせずに、決めたことを変えていい
<8>私は、わからないことがあったら、教えてもらっていい
<9>私は、自分の一番の希望を、いつでも相手に伝えていい
<10>私は、人の悩みを、自分のことのように背負わなくていい
<11>私は、周りの評価を気にせずに、自分の考えややり方を伝えていい
<12>私は、私のままでいい

その19
虹の向こう 山の彼方 飛ぶ鳥

その18
降る花

その17
春が来た 春が来た

バックナンバーINDEX
前を見る 次を見る
| 著作権について | このページのトップへ | 茶柱横町入口へ |