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第94稿

謹賀新年オバンデス


外観 畳が焼けるので、閉めている。

 野僧、何を企んでか、はたまた何に血迷ったか、大胆不敵、無計画、無責任、その他様々表現。本堂新築工事請負契約書に判を二年前の消費税増税前に押した。
 元々は、構造体修理を含め屋根全体の瓦葺替えを計画立案し総代会に上梓したのが、平成8年。簡単に物事は進まない、進む方が怖い。計画自体は先送りで問題無く、役員方々の意識の中に入れていただく事を目的としていた。其の後、さて少しは進めるかと考え始めたその年。平成10年9月22日台風により鐘楼の倒壊。本堂の屋根は忘れ、鐘楼新築を優先的に進めることになった。鐘楼も新しく出来、次は本堂と考えたが豈図らんや「本尊」の修復修理となった。650年前の姿に戻すのに平成17年から翌18年の間一年余りの時間が掛かった。さすがに、経費も掛かり檀家さんにも続けて無理を掛けている。しばらくは静かに過ごすしかない、と本堂の話は其の後役員会にも一切しなかった。
 そろそろと、考え役員会に計画案を出し3年。紆余曲折を経て解体修理を始めたが想っていたより構造体の状態が悪い。更に紆余曲折を経て新築に変更。既に消費税増税前、3%UPと言うが其の差はバカにならない。滑り込みで5%の契約にたどり着いた。


内部 須弥壇自作。楠材、一本の木から総て製材。

 何処の寺社仏閣にしろ、新しく作るとなれば200年前後に一度の大事業であり飴玉を買う様にはならない。が、どうなるか先は誰も判らない。あれこれ迷っても意味が無く、既に本堂がない。と、いうのも是亦困った話になる。元々無かったのであれば考えも変わるが、更地の儘で何時までも知らぬ顔も出来無い。斯くして、元の本堂の寸法で一昨年の暮れから工事を始めることとなった。
 本堂自体の工事は去年の暮れまでに終わっている。但し、支払いは総て終わっていない。施工会社社長さんも支払いの悪い契約を請け負い困っているはずである。大変申し訳なく想っている。支払いの催促が無い方が此方としては「つらい」。
 工事の関係で取り外した石畳みの参道の修復はまだである。まして境内の整備その他は、壇信徒の高齢化と日々の生産活動等を考えると簡単には集まってもらえない。そんな現実から無理を願い道場から帰って来た長男坊と二人で細々と作業を進めている。何時になれば終わるやら。それらを考えると落慶法要などと言う大胆な話や日取りはまだまだ先になる。

 その昔、東北地方では借金を残したまま年越しすると「オバンデス」と言うと、随分昔に聞いたことがある。現在はどの様に言うのかは知らぬ事、其の言葉を借りるならばこの先暫く新年の度「オバンデス」の状態。が、続く事になる。

 斯くして、益々引き籠もり出掛ける事無く無計画和尚の陰り色濃く、ローンウルフの影に戦々恐々し乍らも逃げ隠れる先無く、世逃げも是亦資金不足。斯くして、以前と変わらず2000m2程の境内に生える草引き、木々の剪定、掃除に追いつけない一年を迎える事になった。それでいて、不自由を感じることなく結構毎日を楽しんでいる。

皆様「オバンデス」
佛歴二五五八年 正月 大門 合掌

―第118稿―
「張暑飽閉」の「春夏秋冬」

―第117稿―
春のお便り

―第116稿―
「正月」と「障月」

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