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第73稿 つなぎ と 地下足袋

 世間一般では、住職、和尚さん、お寺さん、などという人種? 職業? はどの様に見たり感じたりしているのか。世の中総てがデジタル化している社会の中で、未だによく理解されていない一部かもしれない。
 日本全国の寺院の総数は77,000強だそうです。ちなみに神社は82,000弱。しかしながら本当の数は判らない、宗教法人格の無い神社仏閣も沢山。人口は一の位まで、百歳以上の方も正確に把握出来るこの世の中では理解出来ない不思議の統計数字。なぜだろう、深く考えずに適当に頷いておくのが妥当な答え。

 宗派にもよるが、ぼんさんの服装は作業に不適合な服装。
 引っ剥がして見ていくと、下には白い着物。続いて大概黒い衣。最後に袈裟。
 違う方向から見てみると、白い着物は「神道」衣は「儒教」袈裟は「仏教」つまり神道の服の上に渡来してきた文化を順に重ねていることになる。
 見慣れたファッションも意外と奥深く、いい加減なセンス。そこで、各宗派独自の味付けと付属品で各宗派ブランドの確立と個別化を打ち立てた。キンキンキラキラから地味なモノ。高額の様で実は安物、質素で高額の物。服装一つ取ってみても、一般の人には大変判りにくい世界。
 私どもを取り巻く業界や産業の経済状態は昔も今もそれなりに私どもも必要とし、助けられている。またその服装は、当たり前で有るがいつ見ても「パッ」としないより「ぱっと見」は実に大事で有るから、キンキンキラキラは不必要とは否定しない。

 この職種を取り巻く業界の話し。数珠編、京都に構える某珠数屋さん。
 大学の頃からお世話になっている、店に行ってもコーヒー頂き後は喋るだけで何も買わない。40年近く色々とご教授頂いているのに4点しか買っていない。住職になるとき伺い買い求めた数珠、私にはずいぶん高価なモノで有ったが「是を買え」とのご意見で頂いた。その後、知り合いの和尚さんが色違いの数珠を買った。

 足元を見るとはこのこと、私の値段の倍。それでも、その和尚さん曰く「安かった」。店のご主人後日談「高額な値段を買って行きはった」未だにアホらしい。未だに忘れられない言葉の一つである。そのご主人も鬼籍に入られ久しい。

 ぼんさんの作業着を「作務衣」(サムエ。私どもはサムギ)と言う。吊り背広より値段が高い。木綿か化繊で丈夫で有れば良い。カタログ見れば絹は当たり前、ウール、綿入り、キルティング張り。土方作業に不向きな仕様のモノが毎年増えている。単純なモノも多く有るが上下で1万5千円前後が最低ラインで、私の使用方法が間違っているのかすぐに痛む。野僧は月に衣5日+であるから残りは何かしらの作業をしている。作業着は傷まず強くを探したどり着いたのが、つなぎと地下足袋の組み合わせ。地下足袋は30年ほどの付き合い。つなぎは去年の秋頃から付き合っている、ご存じの通り脱衣に手間は有るが、作業にはベストと感じている。

 日常の姿がつなぎと地下足袋なので時として、仕事に来ている職人さんと間違えられる。間違うのは、関係外の人々。
 先日は、どなたか知らぬがカメラ片手に玄関へ、当然私は外に居るので玄関で声を掛けても誰も中から返事は無い。帰り際此方をチラチラ見て帰られた。スキンヘッドでつなぎ姿、腰に鋏と鋸ぶら下げ地下足袋履いて剪定のゴミを抱えている。剃髪で作務衣ならば、ぼんさんと言う社会通念からであろう。必ず「こんにちわ、何かご用ですか」と声は掛けている。その方は、返事無く過ぎ去っていった。別の人は「こちらの、ご住職ですか」と疑問文。つなぎにプリントしよう「愛亜無羅爾尼死」ついに坊僧族の仲間入り。
 どなたか、分かりやすい漢字の配列考えついたら教えてください。夜路死苦
ダイモン 合掌

―第118稿―
「張暑飽閉」の「春夏秋冬」

―第117稿―
春のお便り

―第116稿―
「正月」と「障月」

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