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第68稿 猫

 暮れと言うよりも、昨年10月頃からで有ろう。猫に毎朝餌を与えている、飼い猫では無い。正真正銘の野良猫で有る。以前と言っても6年程前からミケが庫裡(寺院での居住空間)の床下や車庫の辺りを住処にしていた。開けっ放しの部屋、座敷にも台所にも一度たりとも入ってこなかった。何度か子供を産んだ、その最後の子供で有ろう。ミケは去年の秋から姿を見ていない。

 猫は20年程前に飼っていた、ここに来てから犬ばかり飼っている。
 去年の夏の終わりにふとしたことで死なせてしまった。それ以来、娘は口癖のように「犬」「犬」と言うが、当方は新たに飼う気は無く過ごしていた。
 ある晩、近くのスーパーに買い物をした際に、処分品で猫の餌が売っていた。何を思ったのか、カゴの中に入れてしまった。娘の一言「アーーーア」である。
 以来、痩せて小さかった猫は飼い猫の如く太り、離れの沓脱ぎ石の上でひなたぼっこ。
 如かし乍ら、野良の意地で有ろうか一定の距離を保ちつつ付き合いを続けている。が、朝に餌を忘れると、此方がエサの袋をもって勝手口に出るまで「エサクレーーーー」と啼く。悲しいかな、徐々に音を聞き取り難くなっていく私の耳には届かない。
 斯くして、私が餌を思い出すまで「エサクレーーーー」と啼いているようで有る。きっと「コラー、ハゲーーーー、エサモッテコンカイ」と言っているので有ろう、エサを与えだしたのは私。皆さま、呉々も野生動物に責任無くエサを与えてはいけません。

猫と言えば マタ タビ

 30年来靴下を穿いていなかった。去年の暮れに100円ショップで娘が一足買ってきた。有り難く穿いたのはいいが、何と温かいことか。法要の時には白足袋を穿く、是は装束の一部。日常での作業は多くは足袋は足袋でも地下足袋、靴下を持ち合わせていないので古い白足袋を利用している。忘れた靴下の暖かさを教えられると難儀なことになる。マタ、タビ を 穿かずに冷たいとも想わずに裸足で冬を越せるか判らない。
ダイモン 合掌

―第118稿―
「張暑飽閉」の「春夏秋冬」

―第117稿―
春のお便り

―第116稿―
「正月」と「障月」

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