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第66稿 伽藍整備 ・・・本堂再建・・・

 伽藍整備と言えば大げさに聞こえる、七堂伽藍を配置する様な規模も歴史も財力も無い自房(じぼう、住職をしている寺のこと)であるが、再々建の本堂(三代目)を大がかりに建て直すこと(現在の本堂改修か、改築、新築)になった。工事は既に始まっている。

 七堂伽藍で言う「仏殿、ぶつでん」仏像をまつり礼拝する場所、「法堂、はっとう」釈尊の法を説く場所。蛇足、「法堂」は禅宗特有の名称です。中国では仏教が伝えられる前には議論などを行う集会所を「講堂」と呼び、仏教の伝来後も同じ名称をもちいた。今日の日本でもその名称は法隆寺大講堂、教王護国寺(東寺)講堂、延暦寺大講堂、広隆寺講堂と特に歴史の古い寺院に大陸文化の名残が残っている。
 その仏殿と法堂一つにした物が「本堂」と称される。故に、本堂の工事では無く、伽藍を整備する。と、恥外聞も無く大口をたたき風呂敷を広げている。

 本尊は、書院奥の席に総檜造りの高座を設けた、この日のために作ったと言いたいがそうでは無い。上方落語協会から出張で落語会を今まで五回本堂にて行った。一回目は段取りも付かずテーブル二段に重ね、赤毛氈を掛け高座代わりにした。二回目から高座として使っている。
 高座と言うのは本来お寺で僧侶が説法や議論をするため、一段高く席を設けたのが「高座」と言います。今では落語家や講釈師の方々が上がる「ステージ」としての感が強い。
 「高座にあがる」「舞台に立つ」と職種で表現は分かれる。さておき、座像であるが故に本尊さんは高座に立つこと無く安座されている。

 工事であるが、・・・台風12号は紀南地方はニュースでお聞きの如く辺り一面ひっくり返った。特定の場所ばかり報道されているが至る所で大なり小なり被害は見ることが出来る。東北地震も原発事故もそこにいなければ、一部分を見たり聞いたりする事しか出来ない。
 森羅万象の出来事は実際に体験し目にしなければ本当の姿は見えてこない。更に15号の追い打ちが続き、工事は動いたり止まったり。
 台風の前後、本堂内部では床板をめくり、畳を上げ、祭壇をバラし、すると今まで見る事が出来なかった所が見えてくる。実に頭の痛い影像と情報である。

 かくして、私の妄想は「だいたい新築」から「ほぼ新築」と変化し、今は「どうも新築」。本堂約五十五坪、付属して便所と倉庫で約十四坪、合計七〇坪弱(約230平方メートル)撤去した部分はもはや元には戻せない。

 築201年。現在解体進行中。瓦、畳、床板は既に無い。

ダイモン 合掌

―第118稿―
「張暑飽閉」の「春夏秋冬」

―第117稿―
春のお便り

―第116稿―
「正月」と「障月」

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