茶柱横町 茶柱横町入口へ
 
 
プロフィールを見る
前を見る 次を見る

第51稿 何か言いました?

何か言いました?<1>
 日も暮れて7時頃にはコオロギ、鈴虫、キリギリスと様々な秋が聞こえて来る。只、年々音を聞き取り難くなってきているが、老化による現象ではない。単に傷んでいるのである。医者に言わせれば「後二十年もしないうちに聞こえなくなる」。既に子供達からは聞き取りできず聞き返す度にお叱りを受ける。特に困るのは、コンビニ、ファーストフード系である。早口で攻められさらに小声となれば何を言っているのか判らない。故に、一人ではまず出入りしない。もっぱら通訳は同行の娘に任せている。

何か言いました?<2>
 音声は小さく効果音は自棄にうるさい、特に怪奇物で最近の日本映画そう感じるのは私だけ。以前の日本映画を見ても特にそういったことを感じない。そういえば、映画館に5年は足を向けていない、もっぱらテレビでの鑑賞。夜中スクリーンで見れば思い出す、近所のオッチャンが公園で白布広げて見せてくれた映画。題名も内容もストーリー一切の記憶無し大阪市内四十年前の話。その頃キミちゃんのおばちゃんに連れて行って貰った映画の内容ははっきり覚えている。

何か言いました?<3>

 困った話、境内や墓地で「おはようございます」は聞き取りも返事も困らない。が、少し離れて何か言われると返事に困る。中途半端は後々困るので近づき聞き直す「何でしょうか」「おはようございます」。ヤレヤレ。
 道ばたにて後から声かけられると、さらに問題。当方は聞こえていないから知らん顔。相手にとったら「クソボーズ、シカトシヤガッタ」

何か言いました?<4>

 地獄耳とはよく言った物である 。
 小声は聞こえにくいのにヒソヒソ声は不思議と聞こえる、なぜだろう。もう一つ不思議なことは、健康な耳には聞こえ無い様な低周波を聞き取れる。沖を行く船の汽笛、離れたトラックのエンジン音、地震の地鳴り等。高音域ははっきり言って聞こえない。年一回の検診で聴力は鬼門である、左右10000Hz40000Hz毎年「所見あり」。検査技師の方が言う「聞こえませんか」それ自体聞こえていない。

何か言いました?<5>

 耳の聞こえが悪い分、他の機能が発達する。と言うことはないし其の類のことは個人的には感じない。今のところは、日常生活で極端に支障を来してはいない。早口でしゃべるおじいちゃんおばあちゃんは限られている。どの方も丁寧にゆっくりと喋ってくれる。逆に「何か言いました」と反撃される。

 上には上がある、恐れ入りました。

やや難聴進行中 だいもん 合掌

―第118稿―
「張暑飽閉」の「春夏秋冬」

―第117稿―
春のお便り

―第116稿―
「正月」と「障月」

バックナンバーINDEX
前を見る 次を見る
| 著作権について | このページのトップへ | 茶柱横町入口へ |