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第46稿 便利に勝る不便の暮らし

 「テッペンカケタカ」とホトトギスの声が途切れない。鳥の名前は鳴き声を擬音化して覚えるのであるが、「本堂焼けたか」と誰であったのか何時の頃であったのか覚えはないが教えられた。お寺に住む人間とすればあまり覚えのよい擬音ではない。できれば、「本堂建てたか」にしてもらいたい。ホトトギスにすれば全く関係の無い話。

 五年振りに「ツバメ」が巣を作り直し、まだ産卵も抱卵もしていない。建物の外ならこちらも良いのであるが、玄関の内である。巣を作るとなると泥やら枯れ草やどうしても下に落ちる。場所が場所だけに頻繁に掃除となる。雛がかえればさらに掃除の回数が増えてくる。しかしなぜであろうか一向に嫌気がしない。それどころが、巣立ちが嬉しく思う。

 境内にナギ(雄)とモッコク(赤芽)が枝を茂らしている。ナギもモッコクも樹齢は250〜300年ぐらい、人間で言えばナギが30歳手前モッコクは200歳前後となる。(補足:ナギの寿命は800年ぐらい、モッコクは長くて150年ぐらいです)
毎年3月頃に京都の「植音」と言う庭司(師ではない)に治療と剪定等願ってい。梅雨前と晩秋に一斉に葉を入れ替える。2日か3日に1日かけて掃除をする。落葉終わるまで春と秋約1ヶ月、此方が死ぬか相手が枯れるか、根元から切り倒すまで続く根比べ。集めた葉っぱは積み上げられてカブトムシの寝床となり、畑の土となる。

 猿の群れは定期的にやってくる。今年もビワの実を総て食べ尽くした。先日見た母ザルの腹に掴まっていた小猿も親と同様木の枝に乗っかり食べていた。人の気配を感じると一目散に山へ逃げ帰る。暫くすると全猿集合、実が無くなれば自然と姿は消える。次の移動先は知る由も無い。

 この時期、数は知れているが「蛍」の鑑賞会。玄関出れば見られるのであるから、まさに安近短。

 此方に来てから鹿と猪は年がら年中目撃をする、今年は今までと少し違う。鹿はアジサイの葉をとにかく食べた。猪は真竹を掘り起こし食べる、真竹を掘り起こして食べるのは今年初めての事。此方はタケノコを食べそびれる事となった。

 ソロソロである。寝ているとモゾモゾムカデの行進、時には天井から落ちてくる。長靴、地下足袋履くときは必ず確認。何年か前、足袋の中にいた何日か腫れ上がり座ると姿勢が傾くのに困った。

 まだまだ日本にはこんな場所が沢山あるのであろう。便利に勝る不便の暮らし。

ダイモン 合掌

―第118稿―
「張暑飽閉」の「春夏秋冬」

―第117稿―
春のお便り

―第116稿―
「正月」と「障月」

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