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第37稿 住みつけば都

人工的刺激がないから、私には此処の寺が落ち着く。

各駅停車のJR上り9本、下り10本。
1時間ではない、一日の停車回数。特急は通過のみ。
近所に家はお寺を含め9軒が点在し、内3軒は無人。
総勢12名(2名は寺)寺の下に婆様、寺以外に9名。
実に静寂である。人工的な物音は皆無に近い。
夜間出没する猪や鹿より人間の方が少ない。
6軒で飼い犬4匹同じく猫5匹。ざっとそんなモノである。

先般、用の続き天王寺、梅田へ久しぶりに足を運んだ。
人の多さと車の多さ、各店舗から流れ出す様々な音。
田舎暮らしにドップリ漬かっている身には些か辛いモノがある。
折しもバーゲン。
ベビーカーに赤ちゃん残し、若きお母さんは振り向くことも無く物色。
赤ちゃんを気遣う周囲の人も無く、攫われる事も無い。
子供から目を離しての買い物、何事もないとは言え、
平和と形容して良いのかどうか私には判らない。
当方は、別段捜し物があるわけでもなく、
特に目的があるでもなく、人の流れに飲み込まれ右へ左へ。

大阪、日帰り往復約350km。
帰ってくると「ほっ」とする。
「住めば都」、と言うけれど「住みつけば都」と言った方が的確か。

今までに遊びに来た知人の大概が、
1日目「しずかやな」
2日目「しげきがない」
3日目「おせわになりました」
刺激を求めるまで3日掛かる。
私は、都会に行くと数時間で人工的刺激から解放されたくなる。
これも、老化現象で有りませうか。

しかし、生き生きとした木々の葉、
季節の変化を知らせてくれる多くの生き物達。
目をこらし耳をそばだてると計り知れない刺激が満ちあふれている。
田舎の環境に限ったことではなく、目を向ければ都会も変わりない。

ヒメハルゼミの鳴き声を最近よく聞く、紀南は梅雨明け間近。

日置川畔 宝勝住
だいもん 合掌

―第118稿―
「張暑飽閉」の「春夏秋冬」

―第117稿―
春のお便り

―第116稿―
「正月」と「障月」

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